米国でゲノム編集を有機認定することに大きな反対の声

 今月23日から25日、全米オーガニック認証基準委員会理事会(NOSB)が開かれるが、本日10月3日までそれへのパブリックコメントが募集されている(1)。

 パブリックコメントはすでに1万を超していて、ゲノム編集された食品を有機として認めるなというものがほとんどを占めているようだ。パブリックコメントは今日、終わったら終わりかというとそうではなく、ただ理事たちが読めないかもしれないというだけでコメントの受け付けは続くし、この他にもWebinar(インターネットを使ったセミナー)を10月15日、17日を開き、その場でも意見が出せるという(2)。秘密会議をやったどこかの国と違って実に堂々と市民に開いている。日本政府にはこうした問題の意見の受付窓口すらないのが現実。

 この理事会は米国農務省に有機農業で認められるものと禁止するものの勧告を出す権限がある。決定権を持つわけではないけれども、大きな影響力を持つ機関と言えるだろう。米国農務省次官が7月にゲノム編集食品を有機に入れることを検討しようと発言して以来、米国では大きな騒ぎとなっている。

 トランプ政権はゲノム編集の解禁に加え、最近では従来の遺伝子組み換えも同様に規制から外す方針を示している。遺伝子組み換え企業は遺伝子組み換え作物の開発の他、さらに開発後の申請に長い時間が必要。その申請を不要にしてしまえば、大助かりだろう。ちなみに、その後、外国政府がそれを認可するにはまたその地で栽培実験のための申請をして、それが通ったら、栽培実験をして、さらにそれを元に輸入・販売・栽培などのための申請を行って承認を得なければならないので、通常、さらに数年かかる。
 実際、世界の多くの国の政府は新品種の承認にとても慎重だ。インド政府などはここ数年1品種の承認も行っていない。それに対して日本政府は次から次へと承認していく。米国で栽培実験した遺伝子組み換えトウモロコシは日本での栽培実験省いていい、とか、それまで個別に申請が必要だった掛け合わせ品種はまとめて申請していいとか、次から次へと遺伝子組み換え企業の便宜を図っている。さらに申請も書類審査だけで、文句を言う委員は皆無なのでほぼベルトコンベア状態。だから世界で断トツのスピードで日本では次から次へと遺伝子組み換え品種が承認されていってしまう。
 このような面倒な規制をなくせ、というのだけども、遺伝子組み換えが増えることと健康被害が拡がることには関連があることがほぼ確実視されてくる中、規制をなくすことはありえない。

 ゲノム編集に注目が集まるのはこの規制を外すための方便として使えるからでもある。しかし、続々とゲノム編集によって問題ある変異が生まれるという情報は次から次へと上がってきている。それにも関わらず、そうした情報を検討の俎上に上げることもなく、即決で決めてしまった。一刻も早く、規制を実現する必要がある。現在のゲノム編集は遺伝子を破壊する技術なのだから。

 全米オーガニック認証基準委員会理事会がゲノム編集を有機において禁止する、という判断をくだすことを求めたい。

(1) Meetings: National Organic Standards Board October 2019

(2) NOSB Meetings

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