10月23日から25日、全米オーガニック認証基準理事会(NOSB)が開催中。今回のNOSBが気になるのは言うまでもなく、この理事会でゲノム編集食品を有機認証に含めるかについて議論がなされるからだ。
7月17日に米国農務省次官が下院バイオテクノロジーなどに関する農業小委員会で、ゲノム編集食品の有機認定についての討議をよびかけ、それを受けて年2回開催されるNOSBで議論にあげられるというもの。
詳しいテキストによる中継がCornucopia Instituteによって行われていて、どんな議論になっているのか、わかり大変参考になる(1)。このNOSBにはゲノム編集以外にも多くの問題が議論に上がっている。たとえば、水耕栽培。水耕栽培ではまったく環境面での貢献がなくなる。有機といえば環境再生に貢献できるのに水耕栽培を有機に含めてしまったことに対して多くの批判がやはりパブリックコメントで送られている(1万以上)。
ゲノム編集についても、当然ながら反対意見が圧倒的。「有機農家も消費者もゲノム編集を有機認証に含めないという点において一致している」。それにも関わらず有機農業に多様性を持たせることが重要などの発言がNOSBの理事(ニューハンプシャー大学の農学部長)から出てくる。
圧倒的な反対の中、バイオテクノロジー企業(=遺伝子組み換え企業)の意向に沿った理事が提案を推すも反対が圧倒的という印象。でも今後、どう動いていくのか、まだ先があるので、とても気になる。
米国での有機農業の現在の急成長の1つの原因は有機食品を選択することが遺伝子組み換えとその農薬を効果的に避ける上で最良の選択であることがある。もし有機認証がゲノム編集を含むことになってしまえば、消費者は遺伝子操作食品を避ける手段を失うことになる。これは有機農業にとっても深刻な打撃となるだろう。そして、米国で認められてしまえば日本でもそうなってしまう可能性が強いだろう。
日本でも農水省が9月30日が異例の秘密の検討会を開いて、ゲノム編集食品を有機認証に含めようと動いたことは先日、書いたとおりだ。
今後の議論に注目していきたい。
(1) Cornucopia Institute: Follow the National Organic Standards Board Meeting in Pittsburgh, PA #NOSB
Follow the National Organic Standards Board Meeting in Pittsburgh, PA #NOSB
現場から情報発信しているもう1つの団体 OrganicEye Facebookページ