ラウンドアップ/グリホサートの人体への影響

 生物多様性が危機にあるというと、絶滅危惧種の動物や植物のことを考えるかもしれない。でも、もっとも危機にあるものはもっと身近にある。それは体内にある。腸内細菌がそれだ。乳酸菌や大腸菌はかなり前から知られるようになってきたけれども、DNA解析できるようになって、もっと多くの菌が体内にあって、私たちの生命を支えていることがわかってきた。
 なぜ、それが危機にあるのか? アレルギーや自己免疫疾患がここ20年に急激に増えてきたが、それには腸内細菌の失調が大きく関わっている。NHKの特集「人体」はこの腸内細菌の重要性に光をあてたがなぜ今、その腸内細菌が危機にあるのかは、それをもたらしたものは何なのかは分析しない。漠然と食にその原因があることを示唆するのみ。

 モンサントはラウンドアップ(グリホサート)の安全性をこう説明する。グリホサートは植物がアミノ酸を作り出すシキミ酸経路をブロックする。アミノ酸を作れなくなった植物は枯れる。しかし、人間にはこのシキミ酸経路は存在しない。だから人体には安全だ、と。
 人体には確かにシキミ酸経路は存在しないが、腸内細菌はそれを持っている。だから植物を殺してしまうグリホサートはシキミ酸経路を持つ腸内細菌を破壊してしまう。腸内細菌を損なってしまえば、そこからさまざまなアレルギー、自己免疫疾患などさまざまな病気が生まれる。だからグリホサートは人体に有害と言わなければならない(*)。このグリホサートの被ばく量が増えるごとに、こうした疾患で苦しむ人の数も増え続けている。
 当然ながら傷つけているのは人体のみではなく、生態系の生命全体に及んでいる。人はグリホサートを避ける工夫はできるが自然に生きる生命たちは無防備だから、人よりもさらに危険に脅かされているだろう。土壌の中にはさらに多くの細菌が生きるがそれらも農薬散布により大きく損なわれている。死滅した土壌細菌はメタンガスとなって気候変動を激化させ、共生菌を失った植物は病原菌にやられやすくなり、さらなる殺菌剤が必要となる。この軍拡競争には際限がない。アグロエコロジー・有機農業であれば解決可能である。

 ラウンドアップ/グリホサートは禁止しなければならないという声が世界中からわき起こる。それにも関わらず、日本政府はグリホサートの残留基準値を最大400倍という大幅緩和を年末にこっそりと行っている。
 日本でもラウンドアップ/グリホサートを使用禁止にしなければならない。

 禁止されない間も有機産品・減農薬を選ぶことで被害を最小にできる。

(*)グリホサートが人体に有害である理由はこれだけに留まらない。またグリホサート以外の農薬も腸内細菌に悪影響を与えている可能性は十分ある。

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