アマゾン破壊と日本(その11)誰がアマゾンを燃やしているのか?

誰がアマゾンを燃やしているのか?

 日本での受け止めの中で驚くのがこのアマゾンの森林火災をあたかもブラジル人の農家が焼き畑でやっていたものが拡がってしまったかのような情報が受け入れられていること。貧しい人たちが主犯のように思っているのだろうか?
 この大規模な森林火災の背景に指摘されているのはそのような農家ではなく、放牧地や農地、鉱山開発を狙う多国籍企業である、というのは多くが一致した見解であり、だからこそ、そのような企業のボイコットがよびかけられようとしている。でも、日本では違う方向に行ってしまいかねない。

 どのような勢力がこのアマゾン森林火災に関わっているのか、緊急レポートが出ている(1)。昨日、投資会社Blackstoneがアマゾン開発を進める企業に巨額の投資をして、後押しをしていることを書いたが、今度はBlackRockという投資会社。名前が似ているがBlackstoneにいた人が独立して作ったのがBlackRock。世界の森林破壊の世界最大の投資企業として名指しして、批判されている。

 この投資会社には米国はもちろん、日本からのお金も入っている。そして中国の資本も巨額なものになっている。つまり、ここには米国も中国もない。こうした金融資本が高い利益を求める構図がある。そして、環境規制が弱くできれば、環境破壊型ビジネスが高利益をもたらすということになり、BlackstoneやBlackRockという投資会社がお金を出す、という構図になる。

 最近はESG投資(環境、社会、ガバナンス)が注目されつつあるが、それは現実において守られていない。高収益を求める資本がアマゾン保護の規制の撤廃を求める→それを公約に掲げる大統領候補に巨額の金が集まる→実績ゼロの極右議員が大統領になってしまう。これが世界の悲劇を生みつつあるのだけど、それを生んでいるのは世界の投資者でもある。

 その中には丸紅、伊藤忠、三菱商事、三井商事、住友林業、王子製紙などそうそうたる日本の資源型企業が並んでいる。
 そして、日本政府もこうした企業のために開発インフラを私たちの税金を使って作ろうとしている。何度も言うが、国外での大規模農業開発は国内の農業切り捨てと一体。同じように声を上げなければ結局はどちらも変わらない。

 そして、最後にとても悲しい話。実際に森林に火を放つ危険な作業は実は奴隷労働で行われているとブラジル公共省が告発している(2)。実質的に賃金も払われず、劣悪な条件で行われる奴隷労働がアマゾンやセラードの破壊の最前線で使われていることはかねてから指摘されてきた。

 私たちの税金や日本からの投資で大規模開発が行われている。それが直接、間接にアマゾン破壊とそしてそこに住む人びとの権利侵害に関わっている。税金の使い道を国会で追及し、問題ある企業への投資引き上げを要求する必要がある。アマゾン森林火災はまったく他人事ではなく、私たちが燃やしていることに気がつくべきだ。

 9月5日はアマゾン行動デー(3)。

(1) 世界の森林破壊の最大の投資者として名指しされたBlackRockに関するレポート
As the Amazon burns, BlackRock named as world’s largest investor in deforestation

(2) アマゾンの森林破壊において奴隷労働が使われていることを伝えるレオナルド・サカモト氏の記事(サカモト氏はブラジルでの奴隷労働などを告発する調査報道NGOを率いる著名ブロガー)
Trabalho escravo é usado no desmatamento da Amazônia, diz chefe do MPT

(3) アマゾン行動デー。ビデオ、チラシ
The Amazon Is on Fire. Here’s What You Can Do.

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