「みどりの食料システム戦略」パブリックコメント後編

 2050年までに有機農業を25%に拡大する目標を設定した「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめに関するパブリックコメントの締め切り4月12日が1週間後に迫る(1)。これは今後の日本の社会に大きな影響を与える可能性が大なので、先日に前編を書いた(2)が、その続きを考えてみたい。 “「みどりの食料システム戦略」パブリックコメント後編” の続きを読む

急ピッチで進む「ゲノム編集」魚流通に向けた調査会

 日本政府が「ゲノム編集」食品の普及に躍起となっている。政府が戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で税金をつぎ込んでその開発をプッシュした「ゲノム編集」トマトの種苗の一般市民への配布が始まろうとしている。次に目論むのが「ゲノム編集」魚なのか、厚労省は2月10日に最初の調査会を開いたと思ったら、3月17日は3回目がすでに行われている(1)。なぜ、こんな急ピッチなのか? その内容も前の投稿のようにとんでもない内容のもの。こんな形式的な調査だけで日本で「ゲノム編集」魚を流通させようというのだろうか? “急ピッチで進む「ゲノム編集」魚流通に向けた調査会” の続きを読む

有機農業の離陸と公共調達政策

 公共のお金(税金)が何に使われるべきか、特に公共調達と言われる部門。学校給食がその典型。税金を人びとのために使うのは当たり前であるべきなのだけど、実際に巨大企業に流れるように変えられつつある。水道の民営化がそうであるように。
 人びとの目が行き届かないところで、人びとのお金が巨大企業に吸い込まれる。サービスは悪化し、高くなる。これを民主化して、人びとが望む方向に変えようという動きは今、世界各地で、地方自治体中心に大きくなりつつある。
 一方で、この公共調達分野、特に学校給食の分野ではかなり前から世界各地で取り組みが始まっている。その端緒はEUが2008年に緑の公共調達(Green Public Procurement)を始めたことだろうか? EU諸国では公共調達での有機化目標を定め、これがその国での農業の有機化を進める上で底上げする力になっている(1)。 “有機農業の離陸と公共調達政策” の続きを読む

「みどりの食料システム戦略」とRNA農薬

 2050年までに有機農業を25%にするという目標を日本政府は立てた。「みどりの食料システム戦略」である(1)。有機農業の目標を立てたことは重要。もっと押し上げなければならない。しかし、この戦略には2つの大問題が隠されている。
 1つは化学農薬や化学肥料による農業からバイオテクノロジー、遺伝子操作技術による農業に転換しかねないこと、もう1つは日本だけ市場原理主義になっていること。
 気候変動の激化だけでなく、生態系の崩壊が急速に進んでおり、有機農業・アグロエコロジーを急速に転換することは今後、不可欠であり、不可避の政策にならざるをえない。今回の戦略はその危機を利用して、この転換期を化学農業から有機農業・アグロエコロジーへの転換ではなく、バイオテクノロジー農業への転換に使おうとしている。まず、それが最初の大問題。詳しく見たい。
 
 2050年までに化学農薬の使用量50%削減目標。世界で日本だけが規制緩和を続けてきたネオニコチノイド系農薬を転換させるという。大転換だ。いいことのように見えるが、但し書きに注目。「リスク換算で50%」、つまり「安全な」農薬を開発して、それに移行させればいいことになる。でも果たして安全な農薬は存在しうるか? その新規農薬とは何なのか? それはRNA農薬。 “「みどりの食料システム戦略」とRNA農薬” の続きを読む