ラウンドアップを禁止しなければならない理由

 モンサント(現バイエル)の除草剤ラウンドアップ(主成分グリホサート)は安全とされる濃度であったとしても体内に入ると、腸内微生物叢を撹乱する。人間の免疫の中心である腸、そして第2の脳と言われる腸がこうやって撹乱されてゆく。
 グリホサートは植物がアミノ酸を作るシキミ酸経路をブロックする。アミノ酸を作れなくなれば体が作れなくなる。だから枯れる。モンサントは植物は枯れるけど、動物や人間にはシキミ酸経路がないので、とっても安全、と言い切ってきた。確かに人には植物が持つシキミ酸経路はない。でも人を支える腸内細菌の中にはシキミ酸経路を持つものがいる(進化の順番からは細菌が先にシキミ酸経路を作り、それを植物がもらったのだろう)。だから植物を枯らせるグリホサートは腸内細菌もダメにしてしまう。しかも、いわゆる悪玉菌はグリホサートには耐性の多いものが多い。でも乳酸菌などの善玉菌は耐性がない。グリホサートを摂取することで腸内環境は悪化してしまう。 “ラウンドアップを禁止しなければならない理由” の続きを読む

ラウンドアップをめぐる動向(デトックス・プロジェクト・ジャパン2周年)

 モンサント(現バイエル)のラウンドアップ(成分名グリホサート)をなくそうとする世界の動きはより確実なものになってきている。
 グリホサートが与える広範な影響も明らかになってきている。米国の裁判ではグリホサートがガンの原因となったことが争点になっているが、人の健康に悪影響を与えるだけでなく、ハチや蝶の激減(1)、さらには土壌の中の微生物にも悪影響を与え(2)、そして害虫や病原菌への植物の防御機能にも悪影響を与えることが指摘されるようになった(3)。 “ラウンドアップをめぐる動向(デトックス・プロジェクト・ジャパン2周年)” の続きを読む

遺伝子組み換え作物やその農薬からの自由

 モンサント(現バイエル)の除草剤ラウンドアップ(グリホサート)の使用禁止や遺伝子組み換え作物の輸入を止めること、これは日本でも多くの人が望んでいることだろう。それをメキシコのロペス・オブラドール大統領が昨年末、宣言した。 “遺伝子組み換え作物やその農薬からの自由” の続きを読む

「ラウンドアップは安全」という説がなぜ出てくるか?

 世界でラウンドアップ(グリホサート)に関する有害性の認識が高まり、禁止の流れが出ているのに、日本では逆に規制が緩和され、禁止してほしいと自治体などにかけ合っても、「安全な農薬で基準を守って使っている」などとして変えようとしないケースが少なくない。 “「ラウンドアップは安全」という説がなぜ出てくるか?” の続きを読む

ラウンドアップ/グリホサートの規制と代替方法

 ラウンドアップ(グリホサート)をなんらかしら規制、あるいは禁止を試みている国の数は42に及ぶ。最初はスリランカとエルサルバドルだった。農業労働者にCKDu(慢性腎不全)で命を落とす人が万単位となり、その主因として分析されたのがグリホサートだった。しかし米国政府の圧力によって、スリランカは一部緩和、エルサルバドルは議会が決めたのに禁止を実行できていない。
 今、現在、完全に禁止している国はルクセンブルク。今年1月1日から完全禁止。タイやオーストリアも完全禁止を決めたが、まだ実行できていない。ベルギーは個人向けには禁止。すでに流通大手でも販売を取りやめたところはいくつも出ている(1)。 “ラウンドアップ/グリホサートの規制と代替方法” の続きを読む

モンサントとリン鉱山汚染

 ラウンドアップ(グリホサート)の有害性についてはずいぶん勉強してきたつもりだったけど、まだまだある。今日、初めて、理解したこと。その前にまず、復習。植物や腸内細菌が持つアミノ酸を作る経路(シキミ酸経路)を損なう。これが大きな問題。さらにキレート効果を持っており、ミネラル分を剥ぎ落とす。ミネラル不足の原因を作る。そして、体内に入ると神経毒として機能する。ガン化のチェック機構を狂わせ、ガン化を防げなくしてしまう、精子の生育を妨げる…。
 でもそれだけじゃなかった。グリホサートの化学式を見るとPがある。これはリン。グリホサートをどうやって作るためにはリン鉱山からリンを持ってこないといけない。ところがこのリン鉱山は多くの場合、ウランやラドンなどの放射性物質、ヒ素と混在している。つまり、ラウンドアップを作るために、地下に眠らせて置いてほしい有害な重金属がいっしょに引き出される。原発を作るためのウラン鉱山が実はこのリン鉱山も兼ねていることは多い。
 だからラウンドアップは製品になって、それから環境を汚染するだけではなくて、製品作る前の原料を集める段階から環境を汚染してしまう。 “モンサントとリン鉱山汚染” の続きを読む

クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう

 クローズアップ現代「世界でどう闘う?農産物のJAPANブランド」はとても画期的だったと思う。その理由第1。「モンサント文書」。実際に報道されたのは米国のラウンドアップ裁判でのモンサント社の社内文書(1)。モンサントは自社の研究でラウンドアップの人体への危険性は実際につかんでいながら知らせなかった。これがモンサントの敗訴の決定的な理由となっている。もっとも、番組の時間の多くを使っていたのはバイエル社による弁明で、衝撃は大いに弱められているが、実際に白血病になって訴訟を起こした人のインタビューやドウェイン・ジョンソン氏の裁判の映像含めて、流れたことは意義が大きい。 “クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう” の続きを読む