バイオテクノロジー企業の言いなりの日本政府

 「ゲノム編集」作物の飼料としての取り扱いに関するパブリックコメント(既報)の締め切り(3月5日)が迫ってきている(1)。
 今回のパブコメについては2月4日にまとめているのでそれを参照していただくとして(2)、今回のポイントは以下
・ 日本政府は「ゲノム編集」された作物を親として交配させた品種(後代交配種)は届け出すら不要としている
・ 飼料としてそうした作物を用いることに対して行われた2019年9月開始のパブリックコメントに批判が殺到→農水省は2020年2月7日に後代交配種で一定の変化が出たものは届け出を求める方針を出す(3)
・ パブコメを受けて変更した政策を今回のパブコメではひっくり返し、後代交配種の届け出を一切不要とするもの “バイオテクノロジー企業の言いなりの日本政府” の続きを読む

「ゲノム編集」食品ボイコットに向けた動き

 本当に今、目を覚まさないと。大事な分かれ道が目の前にある。目もくらむような変化が起きようとしている。どんな変化か?
 Covid-19の蔓延で世界が苦しむ中、有機農業・アグロエコロジーの発展はめざましい。英国では2020年12.6%も有機市場が拡大したという(1)。米国ではなんと14パーセント(2)。新型コロナウイルスの出現は消費者の行動をも大きく変えつつある。
 2018年にフランスのシンクタンクIDDRIは2050年のヨーロッパの農業と食のあるべき姿を提示した。アグロエコロジー、生態系の原則に基づく農業に転換させることで化学物質の投入を段階的になくして、土壌や微生物を守りながら、増加する人口を健康な栄養で支え、慢性疾患にも対応できるというものだ。2050年にはこの100年間近く、世界を苦しめた化学物質にはもう頼らない時代にできるのかもしれない。そのために今、やるべきことが検討されている(3)。気候変動も和らぎ、生物大量絶滅というシナリオも変えられるのかもしれない。次の世代への大きな希望が見えてくる。
 しかし、もう1つの恐ろしい道が大きな口を開けて構えており、わたしたちを呑み込もうとしている。それはBrexitでEUを離脱した英国で鮮明に現れている。EUの厳しい遺伝子組み換え規制からも離脱しようというのだ。 “「ゲノム編集」食品ボイコットに向けた動き” の続きを読む

「ゲノム編集」の魚流通にのめり込む日本政府

 本当にろくでもない人たちに政権まかせておくと、ろくでもないことの連続となる。今度は「ゲノム編集」の魚。もっとも個別案件を審査して市場流通云々ではなく(従来の遺伝子組み換え食品と違って、そんな審査過程はそもそも「ゲノム編集」の場合は略される)、「ゲノム編集」の魚をどう扱うかについて議論するという調査会が厚労省で2月10日に開かれる。ライブ配信予定。9日に厚労省のサイトにURLを掲載予定(1)。 “「ゲノム編集」の魚流通にのめり込む日本政府” の続きを読む

パブコメを潰すパブコメ:「ゲノム編集」飼料後代交配種問題

 政府がデタラメを元に法律を作っていったらどんな国になってしまうだろう? 腹が立つのはそんなことが日常茶飯事になりつつあるからだ。また新たな「ゲノム編集」の後代交配種に関するパブリックコメント本日開始(1)。 “パブコメを潰すパブコメ:「ゲノム編集」飼料後代交配種問題” の続きを読む

政府が見逃す「ゲノム編集」が作り出す問題

 「ゲノム編集」の問題について続々と新情報。政府や企業などゲノム編集」推進側が流す情報とあまりに異次元。推進側は「ゲノム編集」によって起こる変化は自然界でも起きていることと同じだという。確かに紫外線や自然放射線に生物は曝され続けていて遺伝子が壊れて、変異することは起きる。でもこれは長い進化の中で、その変異から守る仕組みも発達させてきている。
 ところが「ゲノム編集」はその防御の仕組みをかいくぐって遺伝子を破壊する。問題は遺伝子だけに留まらない。ゲノムの中の遺伝情報がコーディングされている遺伝子はわずか2%に過ぎず、以前は残りをジャンク(ゴミ)と呼んできた。しかし、残りの部分が遺伝子発現に大きな役割を果たしていることもわかってきた。まったく同じ遺伝子を持つ細胞でも、あるものは心臓になり、あるものは目になる。これはDNAメチル化によって可能になる。DNAメチル化はゲノムに入り込んできたウイルスの遺伝子の発現を抑制したり、ガン化にも大きな関わりがあるという。このDNAメチル化をCRISPRを使った「ゲノム編集」は変えてしまうというのだ(1)。 “政府が見逃す「ゲノム編集」が作り出す問題” の続きを読む

農水省の「ゲノム編集」シンポジウム

 本日行われた農水省の「ゲノム編集技術を用いた農林水産物を考えるシンポジウム」、予想通り推進側だけの一方的内容、今、世界で「ゲノム編集」にぶつけられている問題には一切触れず、これまでの繰り返しの古い説のオンパレードで新しい発見はなし。批判も封じて、消費者とコミュニケーションと言われてもなぁ。

 大きな問題だと思ったのは「ゲノム編集」による想定外の変異について、オフターゲット変異だけに絞っていたこと。オフターゲットについては現在、遺伝子操作方法の改善もあり、発生の低減も見られているけど、一方で、オンターゲット(狙い通り)の遺伝子破壊ができた場合でも想定以外の変異が起きていること、そして遺伝子の大量欠損とそれに伴う変異が起きるケース、さらにDNAの破壊以外にもエピジェネティックな機構の損傷の問題も指摘されており、これらは手が打てていないのが現状だろう。
 うまく行っている部分だけ宣伝しているだけで、あまりに内容的に乏しかった。
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「ゲノム編集」飼料後代交配種の方針あっさり転換

 本日、農水省で飼料に関する分科会が開かれた。またもや新たなバイエル(モンサント)の、ラウンドアップ(グリホサート)はもちろん、バイエルのバスタ(グルホシネート)、今、米国で大騒動になっているジカンバ、ベトナム戦争の枯れ葉剤の主成分の2,4-Dというなんと4つ悪名高い農薬に耐性のある遺伝子組み換えトウモロコシに加え、「ゲノム編集」飼料の届け出の変更などが承認された。
 あまりにあんまりな会議。オンライン会議と思ったら霞ヶ関まで出かけていかなければならない。直接聞けるならまだいいのだけど、通されたのはスクリーンにオンライン会議が映し出されているだけの部屋。それだったらインターネット通じて自宅で聴けるようにしてくれよ(要するに公開はできるだけしたくないんでしょう。どんな会議か知ったらみんな本当に呆れるから)。音声は聞き取りにくく、右翼の街宣カーや庁舎内に流されるラジオ体操の音に邪魔されるという環境。でも環境以上にすごいのが会議の中身。いつものことなのだけど、資料読み上げて、「意見ありませんか? ありません。どうもありがとうございました」、で基本終わるのだ。一言も話さなかった委員もいただろう。これに税金、いくらかけているのか? いや、そんなことない。「えん麦」か「エンバク」か統一せよというとても貴重な意見が出ていたではないか…(ため息)。これが世界でもっとも〇〇な日本の規制の実態。ニッポン、スゴイ!
 愚痴はここまでにして、大きな問題を書いておく。 “「ゲノム編集」飼料後代交配種の方針あっさり転換” の続きを読む