ドキュメンタリー映画『種子ーみんなもの? それとも企業の所有物?』完成

 『種子ーみんなのもの? それとも企業の所有物?』の初上映、長野の松代町で320人の方に見ていただいた。講演の後の2次会にも50人ほどの人が参加され、江戸時代から続く里芋を守っている人や薬草やさまざまな地域伝来の種子を守る多くの方たちの実践を知ることができて本当に貴重な機会となった。
 この映画の中で先住民族マヤの人びとが種子に祈りを捧げるシーンがある。でもこれは先住民族に限らず、世界のどこでも見られた光景だったろうと想像する。種子は文化の中心。その種子が多国籍企業のものとなってしまおうとしている。 “ドキュメンタリー映画『種子ーみんなもの? それとも企業の所有物?』完成” の続きを読む

ブラジルとグアテマラで「モンサント法案」

 ブラジルは2003年の種子法改正によって、モンサントが要望する種子の知的所有権を保護する法制度を準備し、2005年の遺伝子組み換え作物栽培完全合法化につなげた(もっとも非合法にそれ以前にも遺伝子組み換え大豆がアルゼンチンから持ち込まれ耕作されており、その既成事実をテコに強引に合法化したといえる)。 “ブラジルとグアテマラで「モンサント法案」” の続きを読む

EUは南米の農民の種子の権利を奪うか?

 アルゼンチンで行われたWTOの会議を利用してEUがメルコスール(Mercosur、南米共同市場、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル、ベネズエラ。準加盟国はボリビア、チリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ペルー、スリナム)の国々に農民の種子の権利を奪うモンサント法の根拠となるUPOV1991年条約を強制しようとしているとリークされたが、そのリークされた文章が公開された。 “EUは南米の農民の種子の権利を奪うか?” の続きを読む

モンサントの決算は明るい未来を語るか?

 モンサントは2018会計年度第1四半期決算が好調なのだそうだ。「世界から反対が高まって追い詰められてなんかいないんだ。モンサントが危ないなんて言うヤツは嘘つきだ」と言われそうだが、果たしてモンサントの未来は明るいだろうか? どう見ても真っ暗だ。 “モンサントの決算は明るい未来を語るか?” の続きを読む

種子への特許にノー:特許で奪われる種子の権利

 生命体に特許を認めることが遺伝子組み換えが登場してから始まった。遺伝子組み換え技術に特許を与えるならまだわかる。そうではなく、そうして組み換えられた生命体そのものに特許がかけられる。たとえば遺伝子組み換え大豆はモンサントの独占物となる。だからその種子を買うこと自体できない。できるのはその種子を育てるライセンス契約を結ぶこと。だから、その種子を自分のものにできない。保存すれば窃盗ということになってしまう。自由に研究することもできない。モンサントの所有物を勝手に使ったことになり法的に訴えられる可能性がある。 “種子への特許にノー:特許で奪われる種子の権利” の続きを読む

オルタナティブとは:種子やアグロエコロジー運動をめぐって

 自分の書き込みを振り返って、政府や企業のひどい動きのモグラ叩きばかりになってしまっていることを反省中。そうした動きに目をつぶっていい動きが作れるわけはないのだけど、モグラ叩きを続けているだけでもいい動きは生まれてこない。ひどい動きへの対処療法では根本的な問題は解決できないのだから。 “オルタナティブとは:種子やアグロエコロジー運動をめぐって” の続きを読む

ジンバブエでの種子の運動

 アフリカにおける農民の種子の権利の制限はここ数年で急激に進んでいる。2014年7月、アフリカ17カ国が加盟するアフリカ知的財産機関(ARIPO)が農民の種子の権利を規制し、種子企業の特許を守らせる国際条約であるUPOV1991条約に加盟し、2015年にはアルーシャ議定書(Arusha protocol)がタンザニアで締結され、タンザニアやマラウイなど署名した国では農家間の自由な種子のやりとりはもはや犯罪として規制されることになってしまった。 “ジンバブエでの種子の運動” の続きを読む