岸田首相のブラジル訪問:何しに行った?

 能登半島ではまだ水さえ不足しているというのに岸田首相はフランス・ブラジル・パラグアイ訪問。何しに行ったのか?
 
 4.11億円と拠出し、日・ブラジル・グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ(GPI) を行うと約束した¹。「環境・気候変動対策及び持続可能な開発を軸として、日本の技術活用による協力を通じて戦略的グローバル・パートナーシップの一層の強化を図るもの」としているけれども、環境や気候変動の名の下に、それに反することをやるのがこれまでだっただけに、中身が気になる。
 
 というのもGPIに関する共同声明の中で、セラード開発プロジェクト(PRODECER)が言及されている。世界でもっとも生態系豊かなサバンナを有用な農作物を供給しない「不毛の大地」と決めつけ、アマゾンの水源ともなるセラードの森林を大規模破壊して、取り返しのつかないことをしてしまったプロジェクトを称賛し、その関係を継続しようと言っているのだから。
 さらに、デジタル農業推進というのだが、果たして日本がやることがあるというのだろうか?
 
 日本のブラジルとの2国間を象徴するODAは3つの巨大プロジェクトだ。1つはアマゾンの巨大開発をめざした大カラジャス開発計画、さらに広大なユーカリ植林を伴う紙パルプ事業、そしてこのセラード開発。どれもブラジルの環境や現地の住民の生活を破壊するものだった。
 
 ルラ・ブラジル大統領は岸田首相の訪問について語っている²。「岸田首相の最初の言葉はリオグランジドスル州での水害に連帯表明だった」、と。ブラジル最南端のリオグランジドスル州での水害はブラジル史上最悪。穀倉地帯でのこの大水害は気候変動の影響が大きいと思われるが、この地で行われてきた工業型農業がその被害を拡大させていることはほぼ疑う余地がないと思われる。
 しかし、この水害に対する岸田首相の言葉は、首相官邸のサイトでも外務省のサイトでも見当たらない。本当に被害者に連帯を示すのであれば当然、掲げられて当たり前だろう。

 ルラ大統領は記者会見で、リオグランジドスル州での事態はブラジル史上最悪の水害であったことを強調し、記者会見前日には州都であるポルトアレグレに行き、ブラジル連邦政府は州の支援と被害の回復に37閣僚全員が一丸となって取り組むことを表明した。即時に動いたルラ大統領、それに対して、このような言葉をなぜ岸田首相は能登半島の人びとにかけることさえできないのか?

 
(1) 日・ブラジル首脳会談
https://www.mofa.go.jp/mofaj/la_c/sa/br/pageit_000001_00603.html

環境・気候・持続可能な開発及び強じんな経済に関するブラジルと日本のパートナーシップに係る共同声明
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100664790.pdf

日・ブラジル・グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ(GPI)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100664788.pdf

フランス、ブラジル及びパラグアイ訪問等についての内外記者会見

(2) ルラ大統領の記者会見

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