ノーベル化学賞に米と独の研究者2人「ゲノム編集」新手法開発(1)
CRISPR-Cas9による「ゲノム編集」の手法を開発したエマニュエル・シャルパンティエ氏と、ジェニファー・ダウドナ氏がノーベル化学賞とのこと。
確かに「ゲノム編集」は遺伝子操作に大きな変革をもたらし、人類は遺伝子の機能を理解していく上で画期的な進歩をもたらしたのだから、この受賞は当然かもしれない。その技術の重要性は否定するべきではないだろう。しかし、同時に人間の受精卵にこの技術を使うことの禁止を開発者自身が訴えざるをえないという状況(2)もしっかり伝えてほしいものだ。
「ゲノム編集」は遺伝子に深刻な想定外の変異を作り出す可能性がある。この技術の活用が認められるのは研究室など、環境に影響を与えることをシャットダウンできる環境であるべきだ。人間の赤ちゃんにだけでなく、植物の場合でも同様の問題が起きる可能性がある。人と異なり、植物は自然交配を通じてどうその遺伝子の異変が広がっていくかコントロールはほぼ不可能であり、人でダメな技術は植物でも当然、禁止されるべきであろう。
遺伝子が持つ機能を知る上ではこの上なく有効な技術かもしれないが、それで改変した生物を環境中に出すことは許されるべきではない。特に遺伝子が傷つけられ、コントロールを失った生物を大量に生産することは大きな問題を生み出す可能性が高い。その技術を使った生物を一切表示させずに商業流通させることができるとしてしまった日米の政策は、生態系の危機をさらに深刻にしたと未来の世代から告発されるだろう。一刻も早くただす必要がある。