食料危機・気候危機に対処するためにローカルフードへ

 参院選が終わった。ますます世界に背を向ける日本になってしまった。気候危機も食料危機も関係ないかのよう。でも実際にはこの危機は私たちを確実に痛みつけているし、今後、さらに加速することは確実だ。
 確認しておこう。米国の化学肥料価格指数は今なお高騰状態でBloomberg系のサイトで、2002年の100から現在の889.6と8倍を超えており、2年前の数値と比べても、2.76倍と3倍近い数値を示している。3割上がったとかではなく、一桁上の3倍近い異常なレベルで高留まっている(1)。
 世界の穀物生産はウクライナ戦争だけでなく、気候危機によって大きな影響を受けている。それに加えて、化学肥料が買えない事態になればどうなる?
 日本政府は化学肥料の価格上昇分に対する補助金策を打ち出してはいる。しかし、そもそも買えなくなるかもしれない状況なのに、買った分の補助金を出すという策では話にならない。政府は国産小麦増産も打ち出しているが、増産するにも、その小麦がどう捌けるのか地域計画作らなければ絵に描いた餅どころでなく、その政府のよびかけに答えた農家を窮地に追い込みかねない。
 
 生産費用が高騰する一方、その値段の転嫁が難しい現状を考えれば生産費の高騰の分、収入を得るどころか借金だらけになってしまう。しかも自然災害による被害の可能性は高まっている。これでは農家を続けられないと考える農家が増えて当然だ。
 本来ならば政府が戸別所得補償して、農業を続けることをできるようにするべきだが、政府はそれをしない。離農者が増えて、大規模化して企業型農業に変わればいいという政策を今なお続けている。でも現在のように生産が赤字が確実視される状況では企業型農業も止まる。企業型農業はこのようなケースの危機解決には役立たない。まったく時代錯誤の政策のままだ。国内農業生産が急激に衰え、輸入も困難になれば来年以降の食はどうなる?
 
 本来ならば、これが参院選の焦点の1つになるべきだった。言うまでもなく食料が確保できなくなれば社会のすべての人が影響を受ける。でも参院選は終わってしまった。さて、どうしよう?
 
 国がやらないのであれば地域がやるしかない。自治体が農家に前もって収入保障して、生産を依頼する。そしてできる限り化学肥料を削減できるように技術支援も確保する。財源はどうするのか、大きな問題だが、方策はある。農業人口は全人口の2%に満たない数なのであり、その収入を保障する額は実現可能。
 
 お隣韓国はすでにかなり前から政策転換を遂げているという。そのきっかけは韓米自由貿易協定だったそうだ。米国からの安い農産物でボロボロにされた韓国の農業。それを立て直すために、地域のタネを活用し、学校給食や地域の食の循環を最大限にするローカルフード推進条例が韓国の多くの自治体で制定されている。地域の食のシステムが回り出せば、危機には強い社会が作れる。イタリアでも地方自治体が大きな役割を果たしている。
 
 地域の食のシステムを構築するのは個々の生産者、消費者の手には負えない分野がある。地域の製粉場がなければ小麦を作っても持て余してしまうし、それを使う業者がいなければやはり回らない。特定のものばかりみんなが作ってしまっても、消費できない。だからこそ、調整役としての地方自治体の役割が大きくなる。
 
 化学肥料を減らすためにはカバークロップや炭(biochar)の活用が有効であることは国の農研機構がすでに研究済み。やり方もわかっている。それを使うことには補助金を出す仕組みすらある。
 
 また、化学肥料を使わない栽培ノウハウを持っているのは有機農家であり、自然栽培農法実践者である。この方たちが指導者として活躍してもらえるように、予算を確保すればこの危機をさらに緩和できる。
 こうした経験をフルに活用しながら、今、離農を考えざるをえないと思っている慣行農家の支援計画を全国の地方自治体が作る。何より危ないのは東京(食料自給率0%=1%未満)、大阪(同1%)、神奈川(同2%)である。近隣の農村型自治体と提携すればかなりの地域の農家を守れるはずだ。大都市自治体が動けばインパクトは大きい。産直提携は日本生まれの国際語になったが、その自治体版を作ろうという提案。つまり自治体間の産直提携だ。非自発的離農者を一人でも減らす必要がある。離農者が続出して農地が放棄されてしまえば、取り返しのつかない事態になってしまう。インフラ毎復活させるのは至難のわざだろう。その崩壊を止めることができればその経済効果は絶大であるはずだ。
 
 だからこそ、国会ではそうした地域の取り組み支援を早急に議論してほしい。そのためにもローカルフード法案の成立が急がれる。ローカルフード条例も必要になる。
 
 今から動けば危機は緩和できる。そして来年は統一地方選がある。こうした自治体を1つでも増やすのに最高のタイミングだ。市町村レベルの自治体が動くのが最も効果的だろう。杉並区長選でバズワードとなったミュニシパリズムは今後も重要なキーワード。日本全国で、地域の食のシステムへ転換させたい。

Green Markets Weekly North America Fertilizer Price Index
https://fertilizerpricing.com/priceindex/

ローカルフード法案・条例
https://localfood.jp/

都道府県別食料自給率のデータの出典、追記しておきます。
今、見たら、1998年以降の各都道府県の自給率の推移のExcelファイルもアップされているようで、参考になります。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/zikyu_10.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。