日本は世界の動きに背を向けてきた。世界が小規模家族農業を強化しようという時に、大規模化を進め、民間企業に農業を明け渡す時代錯誤な農政を進め、さらに世界が規制を強化する農薬を逆に日本は規制緩和し、日本の農産物が輸入拒否されるまでの事態になった。
日本の有機認証農地面積では世界98位、有機認証が全農地に占める割合で世界109位。先進国で最下位であるだけでなく、アジアの発展途上国にもかなわない。日本は有機農業、自然農法のパイオニアの国の1つであるにも関わらず、政府の政策によってここまで落ちてしまった。
種苗の新品種育成でも日本だけ大幅に減り続けている(公的種苗事業は10年で半分に落ち込んでいる)。
世界の常識に背を向け、今、起きている問題を見ようとせずにやってきたのがこの惨憺たる結果をもたらしている。
世間でこの成績だったら、完全にアウト。プロ野球の監督ならシーズン途中に交代だろうし、民間企業の社長も株主総会は持ちこたえられないだろう。でも日本政府はいつ責任取った? 責任取らなければならない事態であることすらも報道されないから市民に知られておらず、大臣は悠々と過ごしているのが今の日本。
もうこれは失政としかいいようがない。それにも懲りずに日本政府はさらに種苗法改正などさらなる大企業優遇政策を進めている。マスメディアが批判機能を十分果たさずに政府広報化しているから世論は政府の政策をあたかもいいことのように勘違いしてしまっている。
今、日本がやらなければならないのはこの間の失政を反省して方向を大転換すること。それなしには日本の未来は本当になくなってしまう。180度、全面転換する必要がある。種苗法改正などと言っている場合ではないはずだ。
マスメディアは政府の情報をファクトチェックせずにそのまま流すのを止めてほしい。そして政府の政策がもたらしている現実を率直にまず伝えるべきだろう(この中で、NHKのクローズアップ現代が10月22日の番組でそれを1つ果たしたことは称賛しうる)。
まず出発点は現実であり、そこから議論が始まらなければならない。本当に変えなければならない状況にあることを一人でも多くの人に知ってほしいと思う。
参考
有機認定耕作面積での順位(2018年)
1位 オーストラリア
2位 アルゼンチン
3位 中国
4位 スペイン
5位 ウルグアイ
6位 フランス
7位 米国
8位 イタリア
9位 インド
10位 ドイツ
11位 カナダ
12位 ブラジル
13位 トルコ
14位 オーストリア
15位 スウェーデン
…
98位日本
東・東南・南アジア諸国の有機認定農地の占める割合の順位
45位 スリランカ
52位 ベトナム
58位 フィリピン
63位 韓国
66位 ブータン
70位 台湾
71位 インド
84位 中国
89位 カンボジア
96位 インドネシア
97位 タイ
99位 シンガポール
103位 ラオス
109位 日本