日本政府は国連の会議で農民の権利を形骸化し、種子メジャーの利益のために動いて、世界の市民団体から非難を受けた。現在の日本政府にとってはタネを守ることよりも、バイオテクノロジー企業の利便のために動くことが重要な行動原理になっている実態を多くの人に知ってほしい。
国連食料・農業植物遺伝資源条約(ITPGRFA)の第11回理事会(GB11)がペルーのリマで11月24日から29日までペルーのリマで開催された¹。この国連条約には農民の権利が明記され、農民の権利の重要性が認識した条約なのだが、このリマでの理事会はその農民の権利をめぐり、激しく対立した。種子企業・バイオテクノロジー企業の利益のために、農民の権利を形骸化させたからだ。特に議長国のスイスや日本の動きには批判が集中している²。 “農民の権利を形骸化する日本政府に世界から非難の声” の続きを読む
石破政権の農政転換は本物? 危険なその方向
石破政権はコメの価格高騰対策として、増産に向けた新たなコメ政策への転換を昨日の閣僚会議で決めたと報道されています。これまでの減反政策が変わるということで、重要な政策転換と見るむきもあるかもしれません。
でも、これは本当にどんな転換になろうとしているのか、注意が必要です。これまでの自民党農政とは何であったか、というと、米国農産物の大量買い入れを前提とした食料生産抑制政策であり、その柱が減反政策であったと思います。減反政策が変わったとしても、米国農産物の大量買い入れは、トランプ関税交渉を見れば明白なようにむしろ強化されかねない状況です。この農政全体が変わるわけではないことがわかります。それでは石破政権は農業政策をどう変えようとしているのでしょうか? “石破政権の農政転換は本物? 危険なその方向” の続きを読む
米騒動とバイオテクノロジー
危機とはおそろしい。人びとの思考能力を奪い、平常時ではありえないことが堂々と、あからさまに実行されてしまうから。
米騒動を機に、お米とは縁もなかった巨大企業がお米を握ろうとしている。そして地域のお米屋さんは排除。急激な米価高騰で「巨大企業に任せた方が安く、誰もが買えるからいいんじゃないか」と警戒感が薄れてしまう。でも、小さな流通業が廃れて、大企業しか扱えなくなり、競合他社がなくなれば、もはや決定権は巨大企業が握る。私たちの食の決定権は名ばかりとなって、価格や何を売るか、決めるのは巨大企業の手に握られる。
流通と同時に生産の現場はさらに危うい。実はモンサントは「とねのめぐみ」という品種をもって、日本の稲に参入を試みたことがある。「とねのめぐみ」は遺伝子組み換え品種ではない。「コシヒカリ」と「どんとこい」を交配させ、従来の品種改良で育成した品種。でも、彼らは日本の稲から撤退した。彼らを撤退させたのは水田だった。 “米騒動とバイオテクノロジー” の続きを読む
米騒動からモンサント型農業に日本は移行するのか?
今、本当に食・農業が根本から変えられてしまう可能性がある。だから議論が必要。どんな食・農業・社会を望むのか、社会のあらゆるところから声を出していかないと、気が付いた時はもう変える余地がなくなってしまうかもしれないから。
結論を先に言っておくと、巨大企業にさらにコントロールされた社会なのか、それとも市民が決定権をなお保持できる社会なのか、私たちはその分岐点にいると思う。
とても対象的な2つのテレビ番組があった。一つはNHK EテレのETV特集「田んぼ x 未来 あきらめないコメ農家たち」と、もう一つはTBSの報道1930「生産は足りているのか コメ価格下がらない本当の理由は」。 “米騒動からモンサント型農業に日本は移行するのか?” の続きを読む
2025年、世界では止まった有機農業バッシングに日本はどうなる?
2024年の振り返り。世界では2020年〜2024年にかけて有機農業バッシングが猛威を振るった。でも、世界ではそのバッシングの中でも有機農業はがっしり根をはり、バッシングを跳ね返しつつある。光が見えたのが2024年だったかもしれない。
一方、来年以降、周回遅れの有機農業バッシングが日本を襲う可能性が高いと危惧する。有機農業は気候危機、生物絶滅危機などの多重危機の不可欠な解決策。どう攻撃から守れるか、世界の動きから考えてみたい。 “2025年、世界では止まった有機農業バッシングに日本はどうなる?” の続きを読む
『命を守る食卓』(宝島社)をコンビニで!
鈴木宣弘さん、安田節子さんといっしょに関わらせていただいた本『命を守る食卓』について、本当ならあれこれ書きたかったのだけど、6月出版直後にサーバーの問題でサーバーの再構築までする羽目になり、体調もこれまでにない厳しい状態に追い込まれて、何も書けないまま、時間だけが過ぎてしまいました。遅くなってしまいましたが、この本について書きたいと思います。 “『命を守る食卓』(宝島社)をコンビニで!” の続きを読む
農水省:重イオンビーム放射線育種米を5割の都道府県に普及させる?
「あきたこまちR」の問題は秋田県だけの問題ではないと言い続けてきたけれども、農水省は2030年までに、なんと5割の都道府県にこの技術を普及させることを目標にする予算概算要求をしている¹。秋田県は先走りしただけで、政府が重イオンビーム放射線育種米を全国の主力品種にしようとしていることは明確だ。 “農水省:重イオンビーム放射線育種米を5割の都道府県に普及させる?” の続きを読む
米がない「食料危機」?
何か音を立てて崩れている気がする。「米がない」。しかも生産量は十分あるのに。なぜ、そんな事態が起きたかということに関してはいくつも記事がでているので、それに付け加えようとは思わない。だけど、その記事には書かれない、問われるべきことがどうしてもまだあるので、そのことを書いておきたい。 “米がない「食料危機」?” の続きを読む
