「放射線育種」は品種改良ではない

 放射線を照射して新品種を作ることが「放射線育種」とよばれているが、この言葉自体がイデオロギーの産物と言わなければならない。いつの間にか、放射線を当てることを「品種改良」と考えるようになってしまう。しかし、遺伝子操作は品種改良技術ではない。 “「放射線育種」は品種改良ではない” の続きを読む

お米のほとんどが放射線育種米に?

 放射線を照射して突然変異したお米、食べたいですか? 育てたいですか? ここ数年で日本のお米の多くが放射線かけて作った品種に代えられようとしています。
 あまりに重大な問題なので、2月末から慎重に情報収集してきました。2025年から少なくとも2つの県で主力品種が放射線育種米に切り替えられ、他の道府県でもその動きが進む可能性があります。 “お米のほとんどが放射線育種米に?” の続きを読む

新たな遺伝子操作農業へ? 農業資材の遺伝子操作

  今や、農作物の成長を化学物質でコントロールする時代から微生物でコントロールする時代に移ろうとしている、と言えるのかもしれない。いや、それはずっと人類がやってきた有機農業じゃないか、と言えれば一番いいのだけど、話はかなり怖ろしいものになる。つまり、遺伝子操作した微生物でそれをやろうというのだから。
 
 植物と微生物の共生にこそ、大きな可能性がある。化学物質でそれを代替させる工業型農業こそが土壌の劣化、気候変動、農薬依存などをもたらしてきた。だからそこから脱皮し、微生物との共生をどう回復できるか、生物多様性の回復、生態系の回復は今後の人類の生存にも関わる大きな課題であるはずだ。
 
 もし、そうした回復に技術の焦点が行くのであれば望ましいこと、と言いたいのだが、実際に進みつつあるのは、微生物を遺伝子組み換え、「ゲノム編集」、さらには合成生物学によって操作したものを用いる農業に変えようとする動きである。 “新たな遺伝子操作農業へ? 農業資材の遺伝子操作” の続きを読む

英国で「ゲノム編集」生物に関する法律が成立

 3月23日、英国で「ゲノム編集」生物生産・流通を可能にする遺伝子工学法(精密育種法)が成立した。米国や日本とは違い、英国では法律が作られた(日本では省庁内の検討だけで進められた)という違いがあるものの、英国でも表示をせずに「ゲノム編集」食品を流通させることが可能になるが、前途は険しいだろう。 “英国で「ゲノム編集」生物に関する法律が成立” の続きを読む

フードテック推進ビジョンに圧倒的な反対の声

 年末年始にかけて行われたフードテック推進ビジョンに関するパブリックコメントの結果が公表された。フードテックというのは曖昧な言葉だが、その中身は細胞培養肉などの細胞性食品、「ゲノム編集」技術、昆虫食、代替肉、さらには食品管理技術などが含まれる。
 しかし、そもそも「ゲノム編集」技術を使った食品は国会での議論もなく、省庁内の検討会だけでゴーサインになってしまった。そして、細胞性食品も、そこにどんな技術が使われ、どんな問題が起きるか、十分な検討はなされていない。
 にも関わらず、農水省が推進を決めたことには強い違和感を感じる。そして、実際、寄せられたコメントのほとんどは推進反対で埋め尽くされた。
 ところが農水省はこのパブコメをこの言葉で締めくくる。
「御意見をお寄せいただきました皆様方に深く御礼申し上げるとともに、今後ともフードテックの推進に御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます」
 
 推進するな、という圧倒的な声に対して、まったく馬耳東風そのもの。ほとんどパブリックコメントをやる意義を理解していないとしかいいようがない。 “フードテック推進ビジョンに圧倒的な反対の声” の続きを読む

細胞農業、工業的昆虫食、代替タンパク産業は不要

 国会で細胞培養肉などの細胞性食品・フードテックに関する質疑が22日に行われ、岸田首相は「世界の食料問題の解決に貢献する取り組みを後押ししていかなければならない」と語った(1)。
 
 世界の食料問題というけれども、何が問題なのかをすり替えればさらなる問題が作られる。世界は代替タンパク(プロテイン)でもちきりだ。いわく、細胞培養肉、代替肉、さらには昆虫食、遺伝子操作した魚の養殖…。
 
 なんでこんな騒ぎになっているのか?
 背景にあるのはこれまでのタンパク質ビジネスの頂点にあったファクトリーファーミング(工業的集約型大規模畜産)が限界に達して収益や今後の成長が見込めなくなった、ということ。気候変動効果ガスを大量に産出し、水や空気も汚染し、薬が効かない耐性菌の発生源となるファクトリーファーミングに世界は厳しい目を向けだした。そして、環境的にももはやそのような生産を拡大させることには限界が見えてきた。 “細胞農業、工業的昆虫食、代替タンパク産業は不要” の続きを読む

なぜ営利企業の本社が京大の中に?

 なぜ、京大生協で「ゲノム編集」マダイ・バーガー販売なのか、ということなのだけど、その裏にはかなりやばい構造がある。
 
 やばい構造とは何かというと、この「ゲノム編集」マダイを作っている企業の本社は京大の中にあるのだ。なんで国立大学の中に営利企業の本社が置けるのか、理解に苦しむのだが、その本社所在地は京都府京都市左京区吉田本町36番地1 国際科学イノベーション棟 京都大学である。
 
 そして、その「ゲノム編集」マダイやトラフグを開発したのは京大と近畿大であり、国の支援を受けている。公的な支援を受けた研究は公的に還元されるべきだが、それは民間企業にそのまま吸い取られているだけでなく、本社まで京都大にあるということになっている。これっていったい何? “なぜ営利企業の本社が京大の中に?” の続きを読む

AquaBounty社、カナダでの遺伝子組み換えサーモンから撤退!

 AquaBounty、カナダでの遺伝子組み換えサーモンの生産から撤退!(訂正:米国では継続) 先住民族を先頭に長年にわたって遺伝子組み換えサーモンと闘ってきた市民の大きな勝利(1)。さて、これで世界で遺伝子操作魚を作っているのは日本のリージョナルフィッシュ社と米国でのAquaBounty社の遺伝子組み換えサーモンだけ。日本はどうする? “AquaBounty社、カナダでの遺伝子組み換えサーモンから撤退!” の続きを読む