リージョナルフィッシュ社のビジネスモデル(複合企業化)に注意!

 リージョナルフィッシュ社とNTTが合弁で陸上養殖企業設立とのこと(1)。陸上養殖企業によって「食料問題」「環境問題」を解決するなどとうたっているけれども、どちらもまったく看板と内実があまりに違いすぎる(羊頭狗肉どころの話でない)。
 リージョナルフィッシュ社のビジネスプランは現在のように成魚まで作って、自分たちで売るというスタイルではなく、稚魚を全世界の養殖企業に売って儲ける、つまり、モンサントがタネを世界に売って儲けたのと同じようなビジネスモデルを作り上げようとしていると言っていいだろう(2)。
 
 彼らが作る「ゲノム編集」トラフグは食欲を抑える遺伝子を破壊して、早く太らせるのだが、その遺伝子(レプチン受容体の遺伝子)は血圧を上げたり、骨の形成にも関わっている。その破壊によって、トラフグは水温の変化など環境の変化に対応が困難になる。だから水温が完全に管理された陸上養殖施設の中で育てる必要が出てくる。IT技術で水温などを自動で管理する「スマート養殖」ユニットをIT企業に作らせ、稚魚といっしょに売るという魂胆だ。だからNTTなどのIT企業が26.4億円もの投資をリージョナルフィッシュ社に集まっている。
 
 リージョナルフィッシュやNTTは生産性が向上するから食料問題の解決になるというのだが、環境の変化に耐えられない死にやすい魚を作ることがどうして生産性の向上につながるのか、その効果は疑わしい。
 「ゲノム編集」トラフグは1.9倍に成長することもあるという。しかし、すべてが1.9倍になるのではなく、うまく行ったケースに限られるだろう。しかし、もし半数が死んでしまえば、むしろ生産性は落ちることになる。これまで遺伝子操作技術で生産性が上がったことはなかった。そうしたデータは公開されていない。また新たな神話を振りまこうとしている。
 
 九州で高温に強い改良品種のヒラメを開発中というが、これも額面通りに期待しない方がいい。しかし、九州のどこで、それをやろうとしているのか、とても気になる。
 
 現在、日本では陸上養殖施設は漁業法も適用されずに届け出だけで作れてしまうので、今、その投資が世界中で過熱している。日本でも毎週のように陸上養殖のニュースであふれている。そこに「ゲノム編集」魚を潜り込ませることができれば、大きなビジネスとなると踏んでいるわけだ。
 
 しかし、もしその魚が「ゲノム編集」されていることを知れば、買う人はいなくなるだろう。今に至るまで、22世紀トラフグなどと命名してみたが、いっこうに売れず、ブランド化には失敗している。しびれを切らしたNTTが投資の回収に向けて合弁会社の設立に踏み切ったのだろうが、「食料問題」や「環境問題」という看板を掲げることで、ウソのブランド化に成功するだろうか? 
 あたかも問題ある技術が逆に問題の解決策になるかのように繕うことで後押ししているマスコミも困ったものだが、騙されてはいけない。
 
 拷問養殖とも非難されている「ゲノム編集」マダイやトラフグはほとんど売れていない。なぜ、売り上げのないゾンビ企業が生き残っているかというと、それは私たちの税金が支えているから。そして、環境や健康を撹乱する技術があたかも解決策であるかのように粉飾することによって、このダメダメ技術を無理矢理、一大産業へと押し上げようとしている。
 
 しかし、そんな粉飾メッキはいつかはげる。その時の損失の責任は一体誰が負うのだろう? 原発を進めてその負の遺産に苦しむ日本にさらなる負の蓄積はあまりに将来世代にも過酷な負担となる。
 
 まずいものは止めること、メディアが動かなければ、口コミで市民がこの問題を伝えていくしかない。「ゲノム編集」食品は作ったり、食べたりしてはならないことを。

(1) 5年後に年間収益100億円目指しNTTグループ陸上養殖参入を発表(2023年6月27日)

NTTとリージョナルフィッシュによる合弁会社「NTTグリーン&フード株式会社」設立について~地域と新たな産業創出をめざす~
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/06/27/230627a.html

(2) 【リージョナルフィッシュ株式会社】大学発ベンチャー表彰2021 経済産業大臣賞 受賞者インタビュー

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