種苗法改悪で地域の種苗の存続が危なくなる

 種苗法がどんな影響を与えるか? まさに地方のあり方そのものに影響を与えると考える。そもそも地方自治体が育成し、提供する種苗はその地域での農業振興のために行われたものであり、優良な種苗が比較的安価で提供されてきた。その種苗で農家がその地域で営農を続けられれば、地域の関連産業含め、地域の収入が確保できて、その自治体も税収を得て、すべてが回っていくことができる。
 しかし、種苗法改悪案では自家採種が禁止とされ、自治体の種苗事業もその種苗事業そのもので採算取ることが求められていくようになっていくだろう。そして民間企業(多国籍企業)と同じ条件で競争することが求められていく。そればかりか地方自治体が持っている種苗の育成のノウハウは民間企業に提供することが法律で定められている(農業競争力強化支援法)。 “種苗法改悪で地域の種苗の存続が危なくなる” の続きを読む

遺伝子操作されたDNAを放出するな。ゲノム編集規制に向かう世界

 日本では毎日のように「ゲノム編集が未来を開く」的なニュースに溢れている。しかし、世界では大きく違う動きがある。

 米国の認証機関NSFインターナショナルはゲノム編集を遺伝子組み換えとして扱うことを決定した(1)。すでに米国の広く普及した民間認証であるNon-GMO Projectが同様の判断をしているが、これで米国の主な認証ラベルはゲノム編集はNon-GMOではなく、従来の遺伝子組み換えと同等の扱いをすることになる。EUやニュージーランドも同様の方向を打ち出している。

 ということは先進国で無防備なのはほぼ日本だけ、ということになる。 “遺伝子操作されたDNAを放出するな。ゲノム編集規制に向かう世界” の続きを読む

種子法廃止・種苗法改定の真の目的は何か?

種子法廃止が決定してから2年半、廃止されてから1年半が過ぎた。あの廃止は何であったのか? どう変わったのか? 種籾を作るには何年もかかることもあり、その変化を見るのにはまだ早いのかもしれない。でも、自治体の中には、すでに種子検査業務を停止したり、圃場の指定などの対応において種子行政の後退が始まっている。そして、来春上程されると報道されている種苗法改定はどんな影響を与えるだろうか? “種子法廃止・種苗法改定の真の目的は何か?” の続きを読む

ゲノム編集食品は当然有機じゃない(パブコメ)

「有機農産物の日本農林規格等の一部改正案について」というパブコメのタイトルを見て、思わず身構える。ついにゲノム編集された食品を有機に入れるということに手を染めるのか、と思って読み進むと、(遺伝子組み換えを使えないことに加え)「ゲノム編集技術を用いて生産されたものについても、原材料等において使用できないことを明確にする改正を行う」(1)と。

 え、正しいじゃん。ちょっと待て。農水省はその逆の動きをしていなかった? “ゲノム編集食品は当然有機じゃない(パブコメ)” の続きを読む

アマゾンの森を守る先住民族がまた殺される

また悲しいことに1人の先住民族の若いリーダーが殺された。11月1日、マラニョン州で森林破壊に対して守る活動を行っていた先住民族たちが襲われ、1人が死亡、1人が負傷した(1)。殺されたのはPaulo Paulino Guajajaraさん(写真)。その活動は注目されていて、インタビューなどでその活動は知られていた人であったこともあり、このニュースはあっという間に世界中に広まった(2)。 “アマゾンの森を守る先住民族がまた殺される” の続きを読む

インドの「種子の母」に国際的な賞

 急速に種子企業の独占が強められ、各国の種子制度が変えられようとする中で、抵抗も生まれていて、そして大きな成功もあげている。インドの少数民族の女性が伝統的な種子を復活させ、インドの「種子の母」といわれるに至った、その活動を収めた3分の短編映画がカンヌの賞を受賞した(1)。 “インドの「種子の母」に国際的な賞” の続きを読む

遺伝子組み換え企業が作るウソ:「ゴールデンライスは命を救う」

 ウソの情報を流して、人びとを混乱させることは、気候変動も典型だが、遺伝子組み換え関連でも激しい。遺伝子組み換えでは一番、古典的なのがこのゴールデンライスに関するデマだろう。つまり、「ゴールデンライスは発展途上国のビタミンA不足を救うために作られたのに、遺伝子組み換えに反対するものたちによってその栽培を阻まれている。環境運動は救えた命を死に追いやった」というもの(1)。 “遺伝子組み換え企業が作るウソ:「ゴールデンライスは命を救う」” の続きを読む