新たな遺伝子操作農業へ? 農業資材の遺伝子操作

  今や、農作物の成長を化学物質でコントロールする時代から微生物でコントロールする時代に移ろうとしている、と言えるのかもしれない。いや、それはずっと人類がやってきた有機農業じゃないか、と言えれば一番いいのだけど、話はかなり怖ろしいものになる。つまり、遺伝子操作した微生物でそれをやろうというのだから。
 
 植物と微生物の共生にこそ、大きな可能性がある。化学物質でそれを代替させる工業型農業こそが土壌の劣化、気候変動、農薬依存などをもたらしてきた。だからそこから脱皮し、微生物との共生をどう回復できるか、生物多様性の回復、生態系の回復は今後の人類の生存にも関わる大きな課題であるはずだ。
 
 もし、そうした回復に技術の焦点が行くのであれば望ましいこと、と言いたいのだが、実際に進みつつあるのは、微生物を遺伝子組み換え、「ゲノム編集」、さらには合成生物学によって操作したものを用いる農業に変えようとする動きである。 “新たな遺伝子操作農業へ? 農業資材の遺伝子操作” の続きを読む

遺伝子組み換え植林を止めよ!

朗報:FSC(森林管理協議会、Forest Stewardship Council)は遺伝子組み換え樹木禁止というポリシーを覆すプロセスを進めることから撤退した。
 遺伝子組み換え農作物は環境にも大きな影響を与えるが、比較的、栽培開始から収穫までが短いため、環境に曝される期間は限られている。しかし、樹木の場合はそれが数年に及び、しかも広大な植林地が遺伝子組み換え植林になってしまうとその環境に与える影響は多大なものになると懸念される。 “遺伝子組み換え植林を止めよ!” の続きを読む

遺伝子組み換えメジャーの「ゲノム編集」トウモロコシが届け出

 3月20日、米国コルテバ・アグリサイエンス社の「ゲノム編集」トウモロコシが農水省、厚労省に届け出された(1)。コルテバとはモンサント(現バイエル)のライバル企業の米国の2つの遺伝子組み換え企業ダウ・ケミカルとデュポンが合併したものだ。いよいよ4大遺伝子組み換え企業が「ゲノム編集」作物を市場に出すということで局面が変わっていく可能性がある。もっとも現在流通している「ゲノム編集」食品は日本企業が作る3品種に限られている。この「ゲノム編集」トウモロコシの市場流通はまだ時期未定とのこと。
 「ゲノム編集」トマトであればそのトマトを不売にすることで一定止められる。でも、トウモロコシはコーンスターチなどに加工され、さまざまな加工食品に入ってしまう。お菓子やお酢、甘味料、粉ミルクなどその範囲はあまりに広い。となると、不売しなければならない範囲はあまりに広がってしまう。さっそく日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンが日本のコーンスターチメーカーに公開質問状を出している(2)。注目したい。 “遺伝子組み換えメジャーの「ゲノム編集」トウモロコシが届け出” の続きを読む

食料・農業・農村基本法見直しについて

 食料・農業・農村基本法改正に向けた農水省との意見交換会が3月29日に開かれた。農業消滅や食料危機が現実性を帯びている今、日本での食のあり方を大きく変えることは不可欠のことだろう。では、農水省の見直しの内容はどう評価できるだろうか?
 
 残念ながら、根本的に見直しの内容を見直さなければ現在の危機的な流れを変えることはできないと言わざるを得ない。 “食料・農業・農村基本法見直しについて” の続きを読む

英国で「ゲノム編集」生物に関する法律が成立

 3月23日、英国で「ゲノム編集」生物生産・流通を可能にする遺伝子工学法(精密育種法)が成立した。米国や日本とは違い、英国では法律が作られた(日本では省庁内の検討だけで進められた)という違いがあるものの、英国でも表示をせずに「ゲノム編集」食品を流通させることが可能になるが、前途は険しいだろう。 “英国で「ゲノム編集」生物に関する法律が成立” の続きを読む

コオロギ食・工業的昆虫食推進にノー

 コオロギ食をめぐってSNSが騒がしい。イナゴなどの伝統的昆虫食と違う問題がそこにある。岸田首相が予算委員会で推進宣言したフードテックだが、その推進ビジョンのロードマップによるとすでに昨年にコオロギの生産ガイドラインは完成していて、今後、他の昆虫のガイドラインが作られていくことになっている。
  “コオロギ食・工業的昆虫食推進にノー” の続きを読む

フードテック推進ビジョンに圧倒的な反対の声

 年末年始にかけて行われたフードテック推進ビジョンに関するパブリックコメントの結果が公表された。フードテックというのは曖昧な言葉だが、その中身は細胞培養肉などの細胞性食品、「ゲノム編集」技術、昆虫食、代替肉、さらには食品管理技術などが含まれる。
 しかし、そもそも「ゲノム編集」技術を使った食品は国会での議論もなく、省庁内の検討会だけでゴーサインになってしまった。そして、細胞性食品も、そこにどんな技術が使われ、どんな問題が起きるか、十分な検討はなされていない。
 にも関わらず、農水省が推進を決めたことには強い違和感を感じる。そして、実際、寄せられたコメントのほとんどは推進反対で埋め尽くされた。
 ところが農水省はこのパブコメをこの言葉で締めくくる。
「御意見をお寄せいただきました皆様方に深く御礼申し上げるとともに、今後ともフードテックの推進に御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます」
 
 推進するな、という圧倒的な声に対して、まったく馬耳東風そのもの。ほとんどパブリックコメントをやる意義を理解していないとしかいいようがない。 “フードテック推進ビジョンに圧倒的な反対の声” の続きを読む

カーボンファーミングには要注意

 気候危機に対して有機農業・アグロエコロジーはもっとも有効な解決策の1つなのだが、このロジックを悪用した「カーボンファーミング」にはとんでもない罠が存在している。バイエル(モンサント)による「ゲノム編集」カバークロップを使った遺伝子組み換え農業の強制が進みかねない。デタラメな「カーボンファーミング」に要注意。 “カーボンファーミングには要注意” の続きを読む