朗報:FSC(森林管理協議会、Forest Stewardship Council)は遺伝子組み換え樹木禁止というポリシーを覆すプロセスを進めることから撤退した。
遺伝子組み換え農作物は環境にも大きな影響を与えるが、比較的、栽培開始から収穫までが短いため、環境に曝される期間は限られている。しかし、樹木の場合はそれが数年に及び、しかも広大な植林地が遺伝子組み換え植林になってしまうとその環境に与える影響は多大なものになると懸念される。
製紙会社などは森を守る認証ラベルFSCに働きかけ、遺伝子組み換え植林の認証に向け、圧力をかけていた。FSCとは森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利を守りながら適切に生産された製品につけられるラベルとされ、環境や社会を守るために、FSCラベルのついた紙や材木を選ぼうというものだ。もし、FSCでは遺伝子組み換えされた木でも構わないということになってしまえば、遺伝子組み換え植林が「環境や社会にいい」というお墨付きを得て、世界で進むことになってしまいかねない。
今回のFSCの決定は遺伝子組み換え植林に反対してきた世界の市民運動の勝利と言える。
しかし、すでにこの遺伝子組み換え植林は大規模にスタートしようとしている。ブラジルの製紙企業Suzano社は遺伝子組み換えユーカリの植林許可をすでに得ている。グリホサート(モンサントの除草剤ラウンドアップの主成分)に耐えられるように遺伝子組み換えされており、これが始まれば広大な地域がグリホサート汚染されてしまう。遺伝子組み換えユーカリ以外の植物を根こそぎ枯らせてしまうグリホサートの広大な地域への散布はこの生態系へのエコサイド以外の何ものでもない。しかも、そこは世界でも生物多様性に富んだブラジル。その生態系が破壊される。
遺伝子組み換えされなくともユーカリ植林の環境被害は大きいのだが、グリホサート耐性ユーカリとなればその被害はさらに深刻になるだろう。
このブラジルでの遺伝子組み換えユーカリ植林を止めるための行動のために5月にブラジルに行くことになった。遺伝子組み換え植林ストップのために世界各地から活動家が集まる。ブラジルに行くのは8年ぶりだろうか。正直、今は日常生活すら支障が出ている体調なので、この体で片道40時間かかるブラジル現地への旅は自殺行為かもしれない。せいぜい、それまで体調を整えて、体が持つことを祈るしかない。
また現在、温帯地域でも育つ遺伝子組み換えユーカリや塩の害に強い遺伝子組み換えユーカリの開発、花粉の出ない遺伝子組み換え杉などの研究開発を日本も米国も進めており、日本でもこうした遺伝子組み換え植林が行われる危険性は十分ある。認めては絶対にいけない。
Forest Stewardship Council Backs Away from Genetic Engineering Following Global Campaign Calling on them to Uphold their Ban on GE Trees