アルゼンチンでの「モンサント法案」

 モンサントの種子を勝手に保存したら、モンサント警察に捕まってしまう。裁判に訴えられ破産させられる。いや、アルゼンチンではそうはなっていない。農家はばんばん、モンサントの遺伝子組み換え大豆を保存して、翌年しっかり使っている。ロイヤリティも支払わずに。というのもアルゼンチンではモンサントの遺伝子組み換え大豆の特許はいまだ認められていないのだ。だから、モンサントはロイヤリティを種子を売る時は回収できるが、いったん売ったら、農民たちはそれを保存してしまう。遺伝子組み換え大豆の世界第3位の国なのにその収穫に見合ったロイヤリティをモンサントは回収できない。逮捕しようにも逮捕する法律がない。モンサントは裁判に訴えるも、アルゼンチンの裁判所はモンサントの訴えを退けた。困ったモンサントはその大豆を買う業者に代理徴収をやらせようとした。だけど、そんなの誰もやりたくない。紛争は大きくなるばかり。 “アルゼンチンでの「モンサント法案」” の続きを読む

コスタリカの種子を守る闘い

 「自由貿易協定」の本質が何にあるか、はっきりわかる。その本質とは多国籍企業による生産の「支配」。
 コスタリカの新たな苦悩は2004年5月に調印された「米国・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定」に始まる。この自由貿易協定によってコスタリカは2009年UPOV1991年条約加盟国となる。この条約は人びとの種子の権利を損なう。 “コスタリカの種子を守る闘い” の続きを読む

遺伝資源の保護とバイオパイラシー

 今、世界で多くの生物が絶滅に瀕している。野生動植物だけではない。かつて栽培していた品種が消えてしまう。特に先進国ではその消失が激しく、かつて地域毎に異なる品種が農家によって維持されていたものが商業的な種子に代わっていく中で失われていっている。
 生物多様性を確保することの重要性は1992年のリオデジャネイロ環境開発会議でもその後の生物多様性会議でも確認され、それは生物多様性条約に結実し、名古屋議定書も作られたことは記憶に新しい。FAOは食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約を2001年に作り、農家が農業生物多様性を守る担い手であることを確認している。 “遺伝資源の保護とバイオパイラシー” の続きを読む

TPPと「モンサント法案」

 WikiLeaksがTPPの知的所有権項目のテキストをリークした。その内容は想像していた通りだった。「モンサント法」の世界化である。
 TPPや米国との自由貿易協定でラテンアメリカ諸国には「モンサント法案」が押しつけられた。この法案は総じて、
・ 農民が種子を保存することを犯罪として取り締まる。
・ 農民が種子を他の農民と交換・共有することを禁止する。
・ 農民は毎回、政府に登録された種子を購入しなければならない。
とするものだ。ラテンアメリカでは諸国では激しい反対運動が繰り広げられ、こうした法案は葬り去られている。TPP批准国ではメキシコとチリにこの法案が登場し、どちらも廃案となったが、もしTPPが成立してしまえば再び、この法案が登場してくるだろう。 “TPPと「モンサント法案」” の続きを読む

インドの種子の闘いとバイオパイラシー

 1月26日はインドの独立記念日の意味合いが強い共和国の日。その日にオバマ大統領がインドを訪問する。バンダナ・シバ氏がそのオバマとインドのモディ首相に公開書簡を書いたが、その内容がすごく、この間のバイオテクノロジー企業による種子支配との闘いの歴史となっている。 “インドの種子の闘いとバイオパイラシー” の続きを読む

世界化するモンサント法案と人びとの種子の権利、食料の主権を守る闘い

TPPによる日本の農業崩壊の危機が懸念される。しかし、TPPによる危険は日本の農業ばかりでなく、世界大のものとなっている。しかも単なる関税や通商問題に留まらない。このTPPを背後で推し進める勢力の狙いをしっかりと見すえる必要があるだろう。
“世界化するモンサント法案と人びとの種子の権利、食料の主権を守る闘い” の続きを読む