日本政府は国内の政治以上に国際政治では横暴な姿勢が目立つ。もはや、本来基づくべき民主主義の原則を大きく外れ、企業利益のための機関になりさがっていると言わざるを得ない。マスコミがほとんどカバーしないのでやりたい放題なのが現状。マスコミには奮起を願う。
種子法廃止・種苗法改正を基礎付けているものこそ、UPOV条約(1991年版)である。これは種子を育成した種子企業の知的財産権である育成者権を農民の種子の権利に優越させ、世界中で種子企業が利益を上げられるために作られた。反対が強く、世界での加盟は遅々として進まない。しかし、日本政府は世界からの反対も無視して、推進し続けてきた。
日本は1998年にこの条約に加盟し、種苗法も作り替えたが、すぐにUPOVに合わせることは難しかったため、20年以上の時間をかけ、徐々に育成者権を強化させる手段を取った。人びとは知らない間に種子の権利を奪われていき、2020年の種苗法改正で、あらゆる登録品種の種子は育成者の許諾なしに自家増殖できなくなったが、それはこの1998年からのプロセスが一区切り済んだ、ということを意味している。決して、2020年に突然やってきたのではない。
このUPOV1991年版加盟以降、日本のタネのグローバリゼーションは大幅に進んだ。日本の野菜のタネはほぼ9割が海外生産となり、日本国内での育種農家の数は激減した。日本の新規登録品種に占める外国勢の割合は4割近くに増加した。地方自治体による育種能力も大幅に失われて、この20年間にほぼ半減してしまった。日本にとってもUPOVはろくなものではない。
世界ではこれまで使っていた農民の種子が使えなくされ、外国企業の種子が押しつけられることで大きな問題になっている。なかでもアジアの国々の農民からは、日本政府からの圧力に対して、抗議の声も上がっている。日本政府は東アジア植物品種保護フォーラムを主宰して、農水省だけでなく、JICAなども巻き込んで、UPOV体制の構築をアジア諸国に強要していることに日本社会はあまりに無関心過ぎる。
UPOVに対して世界中で、本日、多くの活動が行われる。以下はその一部。日本でも来年の通常国会で種苗法再改正案が上程される可能性も指摘されている。タネなくして、社会なし。タネの権利なしに、民主社会もありえない。多くの人がもっと関心を寄せるべき問題である。
Alianza BiodiversidadとCollectivo de Semillasは常設人民法廷の手続きを正式に開始し、最初のセッションは2026年1月19日から21日にコスタリカで開催。詳しくはAlianza Biodiversidadのウェブサイト https://www.biodiversidadla.org/
ケニアでは、2012年に農家のタネの使用を禁止し、登録品種のみの利用を合法とする種子及び植物品種法に対して、ケニア農民連盟やGreenpeaceなどが2022年、憲法違反だと訴訟を起こし、その判決が11月28日に高等裁判所で出され、違憲判断が下った。この勝利を受けて、ケニア農民連盟(KPL)は12月1日から3日にかけて連続した行動を計画している。
https://www.reuters.com/sustainability/society-equity/kenyan-farmers-secure-right-share-local-seeds-court-ruling-2025-11-27/
メキシコで『生物多様性ノートブック – 我々の種子を守る』が12月2日午後4時(現地時間)メキシコで発売予定。
YouTubeでライブ配信予定
https://www.biodiversidadla.org/Agencia-de-Noticias-Biodiversidadla/Cuadernos-Biodiversidad-Defender-nuestras-semillas
REDSAG-グアテマラは、在来種子と、モンサント社およびUPOV法に反対するグアテマラの団体の闘争に関する放送。12月2日にFacebookページ( https://www.facebook.com/RedsagGt )でライブ配信。
GRAINは、ラテンアメリカにおける種子法の問題に関する新しい出版物を発行。まずスペイン語版が発行され、近日中に英語版にも翻訳予定。
ウガンダのWitness RadioはUPOVに関する議論に放送時間を割く予定。
ザンビアでは、ZAAB が 12 月 5 日に Mfuwe 種子と食品フェスティバルを開催 https://web.facebook.com/share/p/17iVNqApkK/
マレーシアの食料主権フォーラム(FKMM)は、UPOVへの加盟計画とマレーシアの新品種保護法の改正に反対するキャンペーンを1か月間展開中
https://www.change.org/p/hentikan-penyertaan-malaysia-ke-dalam-upov-sekarang
インドネシアでもマレーシア同様の状況となっており、来年1月、この問題に関する会議が開催予定。
このStopUPOVキャンペーン
