バナナ・プランテーションにおける人権侵害は大きな問題となってきた。危険な農薬を浴びることによる健康被害、長時間労働、不払い、労働組合結成の妨害、最悪の場合には労働者の殺害まで多くの人権侵害が生まれてきた。
多国籍企業がラテンアメリカ、アジア、アフリカで農業労働者の権利を侵害し、先進国の消費者はその実態を知らずに安いバナナなどの産物を食べている。その倫理が問われ、英国ではEthical Trading Initiative(ETI、倫理的な貿易イニシアティブ)という取り組みが企業、NGO、労働組合によって行われるようになった。労働者の権利の確保のために協議をして、改善ない場合は企業の資格停止、除名などが行われる。その運営の予算は政府が支出する。1998年労働党政権に始まったものだ。
現在ではノルウェー、デンマークにも広がり、2015年に加盟企業は89社を数えている。
参考:
ETIに関する内容密度の高いまとめ(日本語)。
http://www.caa.go.jp/region/pdf/region_index13_170313_0003.pdf
Ethical Trading Initiativeのサイト
https://www.ethicaltrade.org/about-eti/why-we-exist/etis-origins
住友商事が完全子会社とした中米でバナナ農園を持つFyffes社は労働組合の結成を妨害するなど、悪名高い企業となっており、ETIでの資格が停止されている。その資格停止を解消するかどうかの検討が行われたが、Fyffes社の取り組みは不十分として、継続が決まった。
Fyffesの問題はまさに住友商事自身の問題であり、日本の消費者としても注目する必要がある。
Fyffes’ suspension from ETI extended but positive engagement recognised
http://www.bananalink.org.uk/fyffes%E2%80%99-suspension-eti-extended-positive-engagement-recognised
日本のスーパーに届くバナナは圧倒的にフィリピンから。住友商事は米国やヨーロッパでの展開を念頭にFyffesの買収を行ったと思われるが、フィリピンから届くバナナもまた大きな問題を含んでいる。特にドール(伊藤忠)、スミフル(住友系)の農園では告発が行われている。
そうしたバナナではない家族農家が作るバナナはバランゴンバナナ、ホムトンバナナがあるが、それが得られない場合、スーパーで買うのであればチキータ。チキータはドールやスミフルに比べ格段の配慮が労働者の権利や環境に対してなされている。ドールとスミフルは買ってはいけない。