遺伝子組み換え・ゲノム編集に組み入れられる抗生物質耐性遺伝子が環境中にばらまかれ、拡がっていることが明らかに!
2050年にはガンを超える人類最大の脅威となると言われている抗生物質耐性菌を生み出す原因はファクトリーファーミング(工場型畜産)で飼料に混ぜられる抗生物質(不衛生な環境での感染病防止のため、そして成長促進剤として餌に抗生物質が混ぜられている)にあると考えられるが、遺伝子組み換え作物そのものにも抗生物質耐性遺伝子が組み入れられている。その危険性は以前から指摘されていたが、ワシントン州立大学准教授などの研究により、遺伝子組み換え作物に組み入れられる抗生物質耐性遺伝子が下水処理施設から発見された(1)。
つまり、飼料となる遺伝子組み換え作物自身がこの抗生物質耐性菌の拡大の原因の1つになっている可能性が高くなった。
国連WHOは遺伝子組み換えの際に抗生物質耐性遺伝子を組み入れることは危険であるとして、中止するよう勧告しているが、遺伝子組み換え企業はそれを無視して、使い続けている。遺伝子操作が成功したか失敗したかを判別するために必要となるからだ。従来の遺伝子組み換えだけでなく、ゲノム編集の多くの場合にも使われている。
人類が抗生物質耐性菌の脅威から自由になるためにはファクトリーファーミングの規制、病気以外の抗生物質の使用禁止、ゲノム編集を含む遺伝子組み換え作物の使用禁止が必要となるだろう。
この問題は有機肥料を使う人にとっても気になる話だ。多くの牛が遺伝子組み換え作物を飼料にしたり、抗生物質を餌に混ぜられている環境で育てられており、その牛糞を有機肥料に使った場合、どんな影響があるか、心配になってくる。
コロラド州立大学とアイダホ大学の研究によると、抗生物質を与えられた牛糞を入れた土には複数の影響が現れたとしている(2)。植物と土壌微生物の共生により、土には炭素が蓄えられていくが、抗生物質の残る牛糞が入った土壌では炭素の量が減っていくことが確認できたという。炭素は土の肥沃度を示す目安となる。そして窒素の定着にも影響を与えている。肥料の抗生物質によって、土壌の中の微生物の組成が変わってしまうからだ。
抗生物質に影響を受けやすい微生物(窒素を植物に与える根粒菌やさまざまなミネラルや水分を植物に提供する菌根菌)の活動が低くなり、影響を受けにくい病原菌の活動が活発になる危険も高まるのではないだろうか?
この問題は従来の遺伝子組み換え作物に限らない。ゲノム編集においても多くの場合、この抗生物質耐性遺伝子が使われている。政府など推進側はこうした遺伝子は戻し交配などによって消えていくとしているが、その根拠を尋ねられると答えられない。残らないという保証はなく、現にゲノム編集された牛から抗生物質耐性遺伝子が発見されるなどの研究も発表されている。
(1) Antibiotic-resistant GMO genes persist in sewage sludge, researchers find