子どもから親よりも高い農薬検出

 米国でとても気になる報告があがっている。米国で90%を越える家族の体内にモンサントの農薬ラウンドアップ(主成分名グリホサート)が検出されたが、家族の中でも親よりも子どもの検出された値がはるかに高いというもの(1)。
 なぜ子どもは大人よりも高い濃度のグリホサートが検出されるのか? いくつか理由が考えられるが、1つが子どもが生活する環境、つまり公園、道路、学校などでグリホサートが散布されているということ。子どもは土まみれになって遊ぶから散布されたグリホサートの影響を受けやすい。また、子どもは新陳代謝が高く、お菓子などをよく食べる。お菓子などに使われる小麦などの広範な穀類に近年、収穫直前にグリホサートを撒くケースが増えており、その残留値が高くなっていることが警告されているが、そうした食経由でグリホサートが子どもたちにより多く入っていってしまっている可能性もある。
 米国では多くの人が体内に残存するグリホサートの量の計測をやっている。CBSのニュース番組でもレポーターの家族も測定して、娘から出た、と語っている(2)。米国のマスメディアはラウンドアップの危険をすでに伝えている。日本のテレビ番組ではこのような放送がなぜできないのか?

 グリホサートは腸内細菌を損ない、体内のバランスや神経の発達を阻害し、遺伝子を傷め、生殖能力、呼吸器、皮膚など広範囲の問題を引き起こす可能性が報告されている。まずは道路や公園、学校などでの散布禁止にすることが必要だろう。
 昨年以来、米国の各地の自治体が学校などの場での散布を規制・禁止する数が激増し、その数100を超している(3)が、一方でトランプ政権は今、グリホサートの15年の再使用を認める方針を出している。その方針に関する方針にはすでに15万人近い多くの人がその再延長への反対の意志を表明している。現在、そのパブリックコメント実施中だが、注目が集まり、9月3日までパブリックコメントの期限も延長になった(4)。市民組織がパブリックコメントの提出を呼びかけている。

 米国では12歳の子どもが家庭菜園のラウンドアップで発ガンしたことをめぐり、モンサント(バイエル)に対する訴訟も起こされている(5)。公園や家庭菜園で子どもがガンになるというのであれば、大規模な遺伝子組み換え作物栽培がない日本でも公園や道路、家庭菜園のラウンドアップでおきかねないことではないか?
 各地で自治体への問い合わせや請願などを通じて、日本でも規制が拡がることを願わざるをえない。

(1) Study Finds 90% of Families Have Toxic Weed Killer in Bodies. Significantly Higher Levels Found in Children

(2) CBSの番組(ビデオとテキスト)
Weed Killer Found In Kids At Higher Levels Than Parents

(3) ラウンドアップ規制状況(日本語。5月までのアップデート。毎週のように規制を決めた自治体が世界各地で現れているがアップデートが追いつかない)。

(4) Deadline Extended: Tell EPA to Ban Monsanto’s Roundup!

(5) 12歳の子どもの発ガンに関する訴訟について(日本語)

(6) グリホーサとをめぐる攻防 世代を超えて影響する危険

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