ローカルフード法・条例に向けた動き、5月9日開始!

 この間、世界で大きな食や農のあり方に変化が生まれてきていることをみてきました。戦後、世界に拡大した化学肥料や農薬と種子の3点セットを大きな企業が独占する工業型農業が大きな問題を引き起こし、土壌を破壊し、気候変動を引き起こし、生物多様性や人びとの健康も破壊してきたことに人びとが気がつき始めたことが大きいと思います。そして、生態系を守る農業、有機農業・アグロエコロジーに転換させることで、これらの危機から回復が可能になりますが、めざましい違いが感じられることが、その転換の拡大の後押しとなっています。世界各地から希望に満ちた動きが広がっています。
 
 問題は連鎖します。化学肥料を使うことで土壌の中の微生物との共生がダメージを受け、農薬が不可欠になります。そうした中で作られた種子はやはり化学肥料や農薬の使用なしにはなかなかうまく育ちません。この連鎖を断ち切るために世界が求めだしたのが何かというと、そうしたものを可能な限り、使わずに作られた地域に合った多様なタネです。
 
 今、そうしたタネを求める人の動きが世界化しています。南(発展途上国)の地域の人びとはもともとそうしたタネを多く持っていることが多いのですが、南だけではありません。今は米国でも欧州でもそうしたタネを守り、拡げようという声が高まり続けています。その広がりは驚くべきものがあります。そして、対応に向けて動いている政府や地方自治体も増えています。
 
 残念ながら、日本にはそうしたタネに関する政策や法律がありません。最近、成立した「みどりの食料システム戦略」でも有機農業を50倍に拡大させるといいますが、肝心のタネに関しては一言も触れられていません。しかも、野菜に関してはそのタネの9割は海外産であり、今後も輸入し続けられるという保証はありません。国際紛争や自然災害、感染症蔓延などで輸入に頼れなくなる可能性は高まる一方です。
 
 そして、多国籍企業によるタネの独占はどんどん進みつつあります。近年、最大の脅威は「ゲノム編集」を使った種苗が表示されずに流通してしまい、農家も市民も知ることができないまま、遺伝子操作された種苗ばかりになってしまうことでしょう。国だけでなく、地方自治体を巻き込んだ「ゲノム編集」村が作られようとしています。そうなってしまえば、破壊的な工業型農業を農家や市民が克服することも不可能になってしまいます。
 
 第2次世界大戦後、日本は米国の食のシステムに包摂されてしまいました。米国から大量の農産物を輸入することが前提となって、地域循環・食料自給は見捨てられ、唯一のはけ口が農産物輸出に求められました。しかし、今、肝心の米国の食のシステムを含む、世界の食のシステムが壊れつつあります。環境破壊そして国際紛争によって、今後、食料のグローバルなシステムは機能不全に陥っています。世界的に食料危機が今後、本格化せざるをえないでしょう。
 
 どうすればいいでしょう? グローバルな食のシステムをローカルな地域循環に基づくシステムに変えていく必要があります。それには時間が必要ですが、まずその転換を可能にさせる基本法が必要となります。
 
 ということで、川田龍平議員の呼びかけを元に、鈴木宣弘東大教授やジャーナリストの堤未果さんといっしょに検討を重ねてきたローカルフード推進法・条例、地域在来品種等の種苗の保存及び利⽤等の促進に関する法律案(仮称)という形で、通常国会に提出することになりました。
 
  5月9日朝9時にそのローカルフード法に関するオンライン記者会見を開催いたします。ぜひ、ご参加ください。このオンライン記者会見は後からでも見ることが可能です。
 どうやってこの動きを始めていくか、地域で動きを作るためには何をしたらいいか、有効な方法はどんなものがあるか? 学習会なども開催していきたいと思っています。
 
 以下のURLは5月9日午前9時以降にアクセスすると、記者会見のページにアクセスできます。それまでは短い告知文章が載っているだけですが、9日には新しい内容に変更します。ぜひ、9日午前9時にお会いしましょう!
https://localfood.jp/archives/633

ローカルフード法・条例制定に向けて

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