アマゾンの森林火災について日本のマスメディアはもう語らなくなってしまうのか? でもこれは消費される情報商品ではない。9月に入っても前年比96%森林破壊が増え、昨年の1月〜9月合計と比べても93%破壊増加になっている(1)。
アマゾンとそこに住む先住民族の生存がこの地球における人類全体の生存可能性と大きく関わるだろう。しかし、アマゾンの森林が燃やされ、先住民族が襲われる。日本政府はこの開発に大きな関わっているのにも関わらず、マスメディアはその関連を報道しない。
カトリック教会で先住民族の支援に取り組む委員会CIMIが昨年のブラジルでの先住民族への暴力白書を発表した(2)。昨年1年間にブラジル国内で殺害された先住民族の数は135人。2017年に殺害された数110人から比べ大きく増えている。さらに、先住民族の土地への侵入事件は昨年109件だが、これも2017年の96件に比べて増えている。先住民族の土地の開発(憲法違反)を宣言する現ボルソナロ大統領が就任して以降はさらに急激に増えていて、9月半ばまでで160件に達している。先住民族は森の最後の守り手であり、彼らがいなくなった森はますます破壊の魔の手が進むだろう。
この事態に対して、ドイツ、ノルウェーはブラジルへの援助を停止。フランスは南米南部共同市場メルコスルとの経済協定に署名せず。ブラジル政府にアマゾン保護を迫る圧力をかける(3)。
しかし、日本政府は一切、気にしない。世界の批判が燃え上がる8月末に日本の吉川農水相(当時)がブラジル訪問し、アマゾン破壊につながる大豆の輸送路拡大の事業の相談をブラジル農務相と進めている(4)が、日本のマスメディアはスルーしている。批判記事は出ていない。
政府ばかりではない。英国の環境運動は森林破壊地域で生産された大豆をボイコットすることをファストフード企業に求めている(5)し、米国のEaton DCというホテル・グループはアマゾンの森林を守るために9月と10月はビーフ・フリー、つまり牛肉を提供しないことを決定(6)。環境運動に資金も提供している。
EUではブラジルからの輸入大豆に依存を減らし、EU地域内で大豆生産を増やす、あるいは肉消費を減らすことでアマゾン破壊を減らそうという動きも活発になってきている(7)。
気候変動が激化する中、アマゾンやセラードをはじめ、国外に食料を依存する国は今後、急速に食料が得られなくなっていくことが確実だ。特に深刻であるのが日本。アマゾンの問題はわれわれ日本の問題であると言わざるをえない。どう変えるか、今こそ、考えたい。アマゾン問題は終わっていない。
この問題、ビデオニュースとFukurouFoeTVで話します。
ビデオニュース
FukurouFoeTV↓
(1) アマゾン森林伐採=1~9月は前年比93%も増える=9月ひとつきでも約2倍に
Desmatamento da Amazônia cresce pelo 5º mês consecutivo, revela Inpe
Amazônia completa 3º mês seguido de desmate recorde
(3) Por diferencias con Bolsonaro, Francia ratifica que no firmará el pacto comercial
(4) 農林水産大臣の海外出張の概要について(ブラジル:第4回日伯農業・食料対話関連)
(5) Campanha britânica pede a redes de fast-food boicote contra soja brasileira de área desmatada
(6) This hotel group is going beef-free to help save the Amazon rain forest
(7) Why the EU growing its own soybeans could prevent fires in Amazon