近刊のお知らせ。 『ブラジルの社会思想』小池洋一・子安昭子・田村梨花 現代企画室

ブラジルの社会思想共生の知を求めて 表紙 ブラジルの社会思想を彩る思想家、実践家、芸術家たちを通じてそのダイナミズムに迫る本。僕はほんの短いコラムを書いただけなのですが、扱われた人物のそうそうたる名前を見るだけでもその営みの大きさを改めて再認識します。なんと512ページの大著になったとのこと。出版されるのが楽しみです。
 
 侵略の宗教だったカトリックから解放の神学が生まれ、世界を破壊に追い込む工業型農業に代わる生態系を取り戻すアグロエコロジー運動が生まれる。破壊から創造へ、ブラジルとは僕にとって、近代の世界が直面している問題を反転させていく、そんな思想的な、そして実践的な動きを生み出した驚くべき現場です。
 
 その現場に立ち会えたのは本当にありがたいことでした。しかし、ブラジルから学ぶばかりで何を返せているのか、そう考えるととても辛いのですが、まずは学んだことを生かすことからと思います。
 
 500ページを超える大著なのに3300円という破格の価格の設定になっています。出版社は今の時代とても大変だと思います。ぜひ、図書館などで購入してもらえるようにご助力いただけるとありがたいです。

ブラジルの社会思想
共生の知を求めて
https://www.jca.apc.org/gendai/onebook.php?ISBN=978-4-7738-2212-0
 
 おまえはいつ単著を書くのか、と言われそうですが、本日、別の出版社の方と打ち合わせです。何年間もご苦労をかけさせるだけで何も進んできませんでした。問題を追うのに必死で、知ったものは一刻も早く知らせなければと思って、SNSなどに書くわけですが、そうした情報は他の人の本で出てしまうので、いざ自分の本で書こうとしても結局それでは二番煎じになってしまう。貴重な資源を使って二番煎じを出すのでは何の意味があるのか、と思って何度も挫折し、まったく進んできませんでした。
 
 商品としての情報を集めた本にしようとする限り、自分がやる価値を見いだせなくなってしまいます。僕よりももっと早く、うまく作れる人が何人もいるからです。でも、そうした人たちと僕ではやっていることがあまりに違う。僕にとっては今、目の前にある問題を変えることが第一であり、もし、そうした社会的な現実を変える上でのツールになりえるような本が作れれば、それは出す価値があるのではないか、と考えるようになりました。早く有言不実行から抜け出せるようにがんばります。

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