インドの2019種子法改悪との闘いから学ぶ

 日本で種苗法改悪に向けた動きがはっきりしてきたが、インドの場合は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を離脱することで、その脅威から抜けられるのではないかと思っていたのだけど、残念ながらその動きは止まっていないようだ。新たな種子法改悪法案が出てきている。日本政府はなんとかインドをRCEPにつなぎとめたいようで、働きかけに必死だ(1)。

 インドの種子をめぐるこの20年の動きは日本の今後の展開のプレビューではないかと思わせるほど、日本での現在の動きを思わせるようなことが何年も前から動いている。 “インドの2019種子法改悪との闘いから学ぶ” の続きを読む

種苗法改悪で地域の種苗の存続が危なくなる

 種苗法がどんな影響を与えるか? まさに地方のあり方そのものに影響を与えると考える。そもそも地方自治体が育成し、提供する種苗はその地域での農業振興のために行われたものであり、優良な種苗が比較的安価で提供されてきた。その種苗で農家がその地域で営農を続けられれば、地域の関連産業含め、地域の収入が確保できて、その自治体も税収を得て、すべてが回っていくことができる。
 しかし、種苗法改悪案では自家採種が禁止とされ、自治体の種苗事業もその種苗事業そのもので採算取ることが求められていくようになっていくだろう。そして民間企業(多国籍企業)と同じ条件で競争することが求められていく。そればかりか地方自治体が持っている種苗の育成のノウハウは民間企業に提供することが法律で定められている(農業競争力強化支援法)。 “種苗法改悪で地域の種苗の存続が危なくなる” の続きを読む

種子法廃止・種苗法改定の真の目的は何か?

種子法廃止が決定してから2年半、廃止されてから1年半が過ぎた。あの廃止は何であったのか? どう変わったのか? 種籾を作るには何年もかかることもあり、その変化を見るのにはまだ早いのかもしれない。でも、自治体の中には、すでに種子検査業務を停止したり、圃場の指定などの対応において種子行政の後退が始まっている。そして、来春上程されると報道されている種苗法改定はどんな影響を与えるだろうか? “種子法廃止・種苗法改定の真の目的は何か?” の続きを読む

インドの「種子の母」に国際的な賞

 急速に種子企業の独占が強められ、各国の種子制度が変えられようとする中で、抵抗も生まれていて、そして大きな成功もあげている。インドの少数民族の女性が伝統的な種子を復活させ、インドの「種子の母」といわれるに至った、その活動を収めた3分の短編映画がカンヌの賞を受賞した(1)。 “インドの「種子の母」に国際的な賞” の続きを読む

11月に妥結と言われるRCEPはTPPよりも危険?

 RCEPは種子をより企業の所有物にしていく可能性がある。大問題。

 11月にも妥結すると報じられているRCEP、東アジア地域包括的経済連携だが、なぜか日本ではあまり騒がれない。TPPは日本の公共圏(食、医療、教育、福祉、水道などなど)を多国籍企業の餌食に供してしまうとして大きな反対の声があがったが、RCEPはもっとTPPよりも危険な条項を含んでいる。
 TPP11=UPOV+TRIPS < RCEP=UPOV+TRIPS+TRIPS Plus という感じになるだろうか? “11月に妥結と言われるRCEPはTPPよりも危険?” の続きを読む

遺伝子組み換えをめぐる世界での攻防

 2015年には28カ国あった遺伝子組み換え作物栽培国は2017年には24に減少。もはや先進国で遺伝子組み換え栽培国の増加が見込めなくなった遺伝子組み換え企業はアフリカやアジアに矛先を定める。アフリカは長いこと、遺伝子組み換えの押しつけをはねのけてきた。遺伝子組み換え食用作物を大規模に栽培しているのは南アフリカくらいに過ぎない。ブルキナファソは遺伝子組み換えコットン栽培を開始したが、品質が大幅に悪化したため、巨大な損害を被り、モンサントを告訴。その後、栽培を禁止した。そもそも気候が米国とは異なるアフリカで米国で開発された遺伝子組み換え種子がうまくいくと考える方がどうかしている。 “遺伝子組み換えをめぐる世界での攻防” の続きを読む