「あきたこまちR」は暑さで20〜30%減収になる?

 分子生物学者河田昌東さんが3月29日東京集会にて、OsNramp5遺伝子を破壊された稲は暑さに弱く、2割から3割の減収になったという中国の研究を3月29日東京集会で紹介されたが、この件はとても重大なものだ¹。というのも「あきたこまちR」も「コシヒカリ環1号」も重イオンビーム放射でこのOsNramp5の1塩基を破壊しているからだ。
 その研究によると、栽培する時に、穂が出る時の高温とマンガンの低い水田は避けなければならない、という。でも栽培する時に穂が出る時の温度予想なんて難しい。今年の夏は暑そうだ。今年は「あきたこまちR」はやめておこう、と言ったって全量転換してしまうのだから選択の余地がない。
 中国の研究で使われた稲と「あきたこまちR」は違う稲なので、同じことが起きるとは限らないけれども、「あきたこまちR」では成長に欠かせないマンガンが3分の1未満となるので、影響を受けることは想定できる。
 
 実際に石川県は2020年に「コシヒカリ環1号」を産地品種銘柄に指定し、生産が始まったけれども、その生産は翌年には半減し、さらにその翌年には生産は止まってしまった。やはり収量に問題が出て、誰も生産しなくなったからだと思われる(選択が可能な状態でよかった)。宮城県や埼玉県などでの試験でも同様の傾向が出ており、さらに暑い夏が到来すれば、その欠陥は特にマンガンが不足気味の水田ではかなり厳しくなることは容易に想像される。
 
 OsNramp5のどの塩基を壊すかによってカドミウムやマンガンの吸収も変わることが最近の研究でもわかっていて、「コシヒカリ環1号」のようにマンガン不足にならずにカドミウムを吸収しない変異も実現している²(ただし「ゲノム編集」稲)。
 重イオンビームがいいか悪いかは別にしても、マンガン吸収能力の低い「コシヒカリ環1号」や「あきたこまちR」ははっきり言って欠陥商品に近いと言わざるをえないのではないかと思う。そして、重イオンビームや「ゲノム編集」に頼らなくてもインドの在来種Pokkaliのように自然の中で有害重金属を安全に排除できる稲を活用することができるのだから、この決定は本当に拙速過ぎた。急いで動かなければ大変な事態であったならやむを得ないかもしれないが、そんな緊急性はなかったのだから。
 
 河田昌東さんのように最新研究にも眼を配る人が行政の中にいたら、たぶん、決してこんな愚かな決定はしなかっただろうと思う。そして、少なくとも実施前に広く意見を聞いていれば、この間違った決定によって大きな損害を作り出す危険を犯さなくて済んだはずだ。
 
 秋田県は従来の「あきたこまち」の原種・種籾の生産を早急に再開すべきだ。

(1) 「あきたこまち」をどう守る? 東京集会動画に関する投稿参照
4月8日Facebookへの印鑰の投稿参照

中国の研究は以下
Effects of OsNRAMP5 Mutation on Heat Tolerance and Main Economic Traits of Rice under the Conditions of Different Manganese Concentration
https://caod.oriprobe.com/articles/60795971/Effects_of_OsNRAMP5_Mutation_on_Heat_Tolerance_and.htm

(2) A weak allele of OsNRAMP5 for safer rice
https://academic.oup.com/jxb/article/73/18/6009/6762849

Knockout of OsNramp5 using the CRISPR/Cas9 system produces low Cd-accumulating indica rice without compromising yield
https://www.nature.com/articles/s41598-017-14832-9

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