バイオテクノロジー技術の規制は不可欠

 世の中の注目がウクライナへのロシアの戦争に注がれている間に、世界の巨大企業は史上最大級の利益を上げている。生存すら危機的な状況に追われる地域の中小企業や労働者、農家は少なくないというのに、理不尽さばかりが募る。気候危機や生物絶滅危機への対策は次から次へと反故にされる。世界の生命にとっては踏んだり蹴ったりである。
 EUでは今年12月にモンサントの農薬グリホサートの使用許可期限を迎え、使用禁止の確定がされることを多くが待っていた。ところがそれが再び2023年7月に延期された(1)。7ヶ月、延ばされるということはその期間、販売して利益を確保できるわけでモンサント(現バイエル)にとっては朗報であり、脅かされる命にとっては悲報である。そして、EUでの「ゲノム編集」生物の規制緩和の動きもある(2)。戦争が続く中で、巨大企業は着々とさらなる利益を確保している。英国でもその動きは続く(3)。
 
 政府と企業の回転ドア、つまり企業重役が政府の中で席を得て、自社に都合のいい政治にしていくことは日本でも近年まかり通るようになっている。政府の外国との交渉でも力を発揮しているのは企業ロビー。国会は単なる飾りとなりつつあり、政策は企業が決めていくデモクラシー(民主主義)ならぬコーポレートクラシー(企業主義)になりつつある。
 
 そして学術研究も企業が方向性を決め、税金がそれにつぎ込まれる。バイオテクノロジー技術を規制することはそうした企業が許そうとしない。でも、それが続けばこの先に何が起きるだろうか?
 
 心ある研究者はこう警告する。「もし、このままバイオテクノロジーを世界で大規模に進めたら、大変なことが起きる。それは確実だ」(4)
 
 だからこそバイオテクノロジー技術は規制されなければならないはずなのに、今、世界で起きようとしているのはその規制を企業に任せるという方向だ。企業が自分で判断できる。以前ならば政府に申請をして、情報をすべて政府に伝え、審査を受ける必要があった。今は申請も必要なし、情報も公開しなくていい。そしてその実態は政府ですらわからない。
 こんな状況を許したら、その影響は原発を超えてしまうかもしれない。つまり、バイオハザードが世界的に蔓延し、それを止める力を人類はまだ持っていない、ということになりかねない。
 
 新型コロナウイルスはその一つの警鐘として受け止めるべきではないだろうか?
 
 まだ間に合う。しっかりと、企業の圧力下ではなく、市民社会の監視下で、しっかりとした科学研究に基づく議論と調査を行い、バイオテクノロジー技術の規制政策を実現させていく必要がある。

(1) Glyphosate: EFSA and ECHA update timelines for assessments
https://www.efsa.europa.eu/en/news/glyphosate-efsa-and-echa-update-timelines-assessments

(2) EUでのパブリック・コンサルテーション4月29日〜7月22日
Public consultation: EU legislation on new genomic techniques (NGTs)
https://cpvo.europa.eu/en/news-and-events/news/public-consultation-eu-legislation-new-genomic-techniques-ngts

(3) A ‘Precision Breeding’ Bill to fast-track GMO deregulation in England

A ‘Precision Breeding’ Bill to fast-track GMO deregulation in England

(4) Calling the latest gene technologies ‘natural’ is a semantic distraction — they must still be regulated
https://theconversation.com/calling-the-latest-gene-technologies-natural-is-a-semantic-distraction-they-must-still-be-regulated-166352

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