TPPや貿易自由化論議でたびたび聞く「大規模農業とはたちうちできない」。しかし、本当にたちうちできないのか?
アグリビジネスが行う大規模農業はそれほど生産性の高い代物なのだろうか?
現実は異なる。実は大規模農業は生産性が低い。政府からの補助金、巨大な融資なしではまったく回らない。米国のトウモロコシは生産費を下回る価格で市場に出される。それでも大規模農家は損失を受けない。巨額の補助金が付くからだ。
生産を支えられないレベルに抑えられた穀物価格が食品加工産業、バイオ燃料産業を支える。世界の食品加工業を支配下に納める上でその巨額補助金がなくてはならない。モンサントを初めとする遺伝子組み換え企業、カーギルなどの穀物メジャー、そして食品加工企業(さらに石油・資源企業)がその補助金政治を支える。
もし、その政治が変わったらどうなるか? その膨大な補助金が減額になっただけでどんな変化が起きるだろうか?
大規模農業は継続が不可能になる。いってみれば次々と膨大なエネルギーをつぎ込まなければ動かすことのできないおんぼろな車みたいなものだ。大規模農業を支えるのは政府の買収であり、腐敗だ。
「大規模農業とはたちうちできない」ということの核心は政府はアグリビジネスのものであり、民主主義は放棄するしかないということだ。本当に同意できるだろうか?
米国の大規模農業はメキシコのトウモロコシ農家などを破産させ、大地を汚染し、土壌を崩壊させながら拡大してきた。大量に使われる農薬は川を、地下水を、雨を、空気を汚染している。大量の石油を使うエネルギー集約的な農業はやがて止まる日が来る。その日が来るまで税金を吸い尽くし、小農民を駆逐し、世界の飢餓を増加させ、自然を荒廃させ続けるだろうか?
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