国連総会は全会一致で「家族農業の10年」(2019ー2028年)を採択した。
2014年は国際家族農業年だった。かつて国連食糧農業機関(FAO)を含む組織は農業は大規模化させ、企業的農業こそが農業生産性を高め、世界の食料状況を改善させると考え、大規模企業的農業を推進していた。しかし、それがもたらしたものは何だったか? 世界的な食料危機だった。種子の独占、農業的生物多様性の激減、土壌崩壊、廃棄食料の増大、農薬や化学肥料による環境破壊、投機的生産による食料生産の不安定化…。じっさいに食料保障を担ったのは小規模家族農業だった。
こうして農業政策の大きな転換が図られる。そして2014年、国際家族農業年。世界的に小規模家族農業の重要性がキャンペーンされた。しかし、日本では政府は相変わらず、「強い農業」だの「民間企業の農業参入」一本槍という前世紀的政策とイデオロギーに囚われてしまっている。日本のその政策はブラジルでのセラード開発の延長線であるMATOPIBA地域の農業開発にも、モザンビークのProSAVANA計画にも影響を及ぼしていると言えるだろう。悪影響は国内のみならず世界的にも迷惑をかけていると言っていい。
この「家族農業の10年」はそうした日本にとってこそ最大のチャンスといえると思う。世界と連携しながら、日本の農業・食料政策を変えさせることができる機会にできる。立場を超えて、小規模家族農業を生かす社会に変える道に進みたいものだ。
THE DECADE OF FAMILY FARMING 2019-2028 OFFICIALY ADOPTED BY THE UNITED NATIONS GENERAL ASSEMBLY
http://www.familyfarmingcampaign.net/en/news/2017/12/the-decade-of-family-farming-2019-2028-officialy-adopted-by-the-united-nations-general-assembly