モンサント/バイエルの特許権の主張、アルゼンチン裁判所は却下

 またもや朗報 アルゼンチンのブエノスアイレス市民事商事連邦裁判所はバイエル(モンサント)の種子での特許の主張を却下した(1)。

 モンサントが人工的に作り出した遺伝子配列を持つ遺伝子組み換え種子は米国では特許が認められている。特許を保有するモンサントからライセンスを得なければ何もできず、自由に研究することも許されない。でも、世界中、すべてがそう認めているというわけでもない。インドでも生物への特許は認められず、遺伝子組み換え種子であったとしても他の種子と同様に自家採種をしたとしても違法ではない。そんなことをしたらモンサント警察にやられる、というのはそういう特許を認めている国での話で、世界中、そんな話が通るわけではない(2)。
 もっとも、この事態はモンサントを買収したバイエルにとっても由々しき事態で、アルゼンチンでも2015年に裁判が起こされて、3つの訴訟が行われている。
 
 特許とは発明行為に対して与えられるものだが、モンサントは大豆を発明したわけではない。人工的に作り出した遺伝子配列は想定できる新機能を安全に作り出すので、特許に値するとモンサントは主張するわけだが、すべての新しい技術が特許の対象となるわけではなく、特許法が想定している特許に値しない、という判断になっている。モンサントが作り出した遺伝子配列を組み込む時に生じる想定外の結果が起き、安全性に疑問も持たれていることにも言及されたとのこと。今や雑草にも虫にも耐性がついて、有害無益な技術に成り果てている。実際に初期の遺伝子組み換えトウモロコシなどはスクラップが検討される始末。
 
 遺伝子組み換え種子だけでなく、通常の品種改良においても、特定の遺伝子が持つ機能を発見し、それを通常の交配によって、生かした品種でも日本や米国では特許を認めてしまっている。EUでもいくつか認めてしまっているが、欧州裁判所は生命への特許を認めるべきでないとする判決を出しており、生命への特許は許さない No Patents on Life という主張を掲げた運動は大きくなりつつある(3)。
 
 日本は種苗に特許法による特許権と、種苗法による育成者権の両方を認めており、昨年末に種苗法改正案が成立した時もこの特許法と種苗法の整合性が整えられた。それが当たり前であるかのように日弁連まで含めて、日本ではそんな方向になってしまっている。しかし、種苗の知財権は今、世界で大きな論議になっている。知財権を強化することはむしろ多くの種苗産業を損ない、極少数の独占企業を有利にすることへの警戒も強い。世界の進む方向と日本が進む方向、ギャップが大きくなっていると言わざるを得ない。日本国内だけでなく、日本政府はその問題ある政策をアジア全体、世界にも広めようとしている。でも国内でこうした問題について満足な論議すらなされていない。ここは一度立ち止まって、考える時に来ているのではないだろうか?

(1) Naturaleza de Derechos による投稿
https://www.facebook.com/819769671438755/posts/3967983069950717/

(2) インド最高裁はモンサントの訴えを退けて、種子への特許を認めない判決(2018年6月3日投稿)
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/2656859111007569

(3) 種苗への特許に反対する世界の動き(2020年12月30日投稿)
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/4880036865356438

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