種苗セクターの衰退と日本の種苗政策

日本種苗協会メンバー数推移 昨日公開した『日本の種苗政策と UPOV−種子法廃止・種苗法改正、「ゲノム編集」から重イオンビーム放射線育種まで』では現在の日本政府の種苗政策がこの20数年一貫して日本の種苗セクターを衰えさせたさまを描いた。
 いくつもその状況を語る数字はあるのだけど、今日紹介するのはその一つ。日本種苗協会に登録されているメンバー数の推移¹。
 種子法廃止も種苗法改正も民間企業のためであったのなら、少しはこの数も回復してもいいようなものだけれども、減り続けている。 “種苗セクターの衰退と日本の種苗政策” の続きを読む

『日本の種苗政策とUPOV』について

 種子法廃止って何だったの? 種苗法改正はどうして行われたの? なんで野菜のタネはほとんど輸入なの? なぜ在来種が危機的なのに支援がないの? 「ゲノム編集」食品は農業をどう変えてしまうの? 来年から始められる重イオンビーム放射線育種米はどんな変化を日本の食にもたらす可能性があるの? 日本政府がモンサント法を他の国に押しつけているって本当? なんで報道されないの? ばらばらの問題としてではなく、まとめて点と点をつなげて考えると、そこにどうしていくべきか、大きな課題が浮かび上がってきます。 “『日本の種苗政策とUPOV』について” の続きを読む

リオグランデドスル水害、ブラジルの食料危機に?

 リオグランデドスル州の被害は想像超えて、大きな問題になってしまいそうだ。大規模農業が盛んな地域だがセラード地域が輸出向けの大豆生産が多いのに対して、リオグランデドスル州ではブラジルの稲の7割を占め、それは国内向け。収穫が進んでいたものの、それは終わっておらず、国内の食料事情に大きな影響を与えそうだ。
 そして、この地域はアグロエコロジーによる米生産の半分を生産する地域。1万トンの有機米が失われた可能性がある。この有機米の多くはMST(土地なし農業労働者運動)に属する農民たちが作っている。もともと土地を持たない農業労働者が農地改革によって土地を得て、農薬も化学肥料も使わないアグロエコロジーによって生産を拡大してきた。そしてそのお米は都市部のホームレスにも提供されてきた。MSTはラテンアメリカ最大の有機米生産団体となっている。 “リオグランデドスル水害、ブラジルの食料危機に?” の続きを読む

食への権利:食の戦争体制が進む中で

 食料・農業・農村基本法改正案、そして食料供給困難事態対策法案の最大の問題点はここまで日本の食・農をダメにしてきた政策を変えずに「これまでのビジネスをそのままやらせろ」というのが基本になっていて、そんなことをすれば確実にやってくる食料危機に強権使って対応するというセットになってしまっていることだ。
 今、気候危機、生物絶滅危機などの多重危機の進行は予想を超えて進んでおり、このままでは世界全体で危機的な事態に陥る。その中でもっとも脆弱な部類の日本はさらに厳しい状況に追い込まれるから、もっとも機敏に対応しなければならないのだけれども、現在の政権の下ではそれは期待できない。官僚がマイクのスイッチを一度切ってしまったら、オンに戻させることすらできない大臣が構成する政権では無理だろう。 “食への権利:食の戦争体制が進む中で” の続きを読む

兵庫県佐用町でのユーカリ植林騒動、BS-TBSの報道を見る

 兵庫県佐用町でのユーカリ植林騒動、BS-TBSが特集した。短い特集なので深さは望めないが、取り上げ方は悪くなかったと思う。
 
 この騒動の発端は佐用町が住民に一切何も知らせずにユーカリ植林の試験植樹を始めたことに始まる。町民が知ったのは植林が始まって半年以上経ってからの新聞報道がきっかけ。番組によると、町の計画は東京農工大学と町と金融機関が組んで、ユーカリを本格植林して、バイオマス発電所を作り、そこで発電するというものらしい。 “兵庫県佐用町でのユーカリ植林騒動、BS-TBSの報道を見る” の続きを読む

ヨーロッパと日本のタネ:どう違う? ドキュメンタリー“SEEDS OF EUROPE”を見て

 世界でタネが焦点になっていることを5月4日に長い投稿でまとめた。ヨーロッパ、EUでは2つの動きがあることを伝えた。一つは有機農家のタネの促進をめざす方向、もう一つは「ゲノム編集」の導入に向けた動きだ。
 
 でも文字ではなかなか伝わらない。前者の有機のタネに関するとてもいい短いドキュメンタリーがある。“SEEDS OF EUROPE”(34分)。アイルランド、ルクセンブルク、フランス、イタリア、オーストリアとチェコ共和国の農家を訪れ、タネの問題を浮き上がらせる。 “ヨーロッパと日本のタネ:どう違う? ドキュメンタリー“SEEDS OF EUROPE”を見て” の続きを読む

岸田首相のブラジル訪問:何しに行った?

 能登半島ではまだ水さえ不足しているというのに岸田首相はフランス・ブラジル・パラグアイ訪問。何しに行ったのか?
 
 4.11億円と拠出し、日・ブラジル・グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ(GPI) を行うと約束した¹。「環境・気候変動対策及び持続可能な開発を軸として、日本の技術活用による協力を通じて戦略的グローバル・パートナーシップの一層の強化を図るもの」としているけれども、環境や気候変動の名の下に、それに反することをやるのがこれまでだっただけに、中身が気になる。 “岸田首相のブラジル訪問:何しに行った?” の続きを読む