兵庫県佐用町でのユーカリ植林騒動、BS-TBSの報道を見る

 兵庫県佐用町でのユーカリ植林騒動、BS-TBSが特集した。短い特集なので深さは望めないが、取り上げ方は悪くなかったと思う。
 
 この騒動の発端は佐用町が住民に一切何も知らせずにユーカリ植林の試験植樹を始めたことに始まる。町民が知ったのは植林が始まって半年以上経ってからの新聞報道がきっかけ。番組によると、町の計画は東京農工大学と町と金融機関が組んで、ユーカリを本格植林して、バイオマス発電所を作り、そこで発電するというものらしい。
 
 結局、この話が出てきたのは、国の補助金による事業だということ。その儲けに預かりたい企業あるいはコンサルが町に持ち込んで、町長が独断で進めた、というところだろう。
 あまりに杜撰で話にならず。公金を使い、それを民間企業が儲けて、コモンとしての山や林が失われてしまうかもしれない。公的なコモンが食い物にされようとしている案件とも言えるだろう。

 ユーカリ植林によって何が起きるか、もう長いこと書き続けているのでここでは敢えて書かないが、以下の3つの分野で世界各地で深刻な問題が引き起こされていることは押さえておきたい。そうした問題は佐用町では絶対に起きない、世界のユーカリ植林とは異なるのだと主張するのであれば、どこが違うのか、安全とする根拠を佐用町は説明すべきだろう。
・ 水資源への影響
・ 生物多様性への影響
・ 社会への影響
 
 これらはすでに実例がある。日本と比較するためには、南米での巨大ユーカリ植林は規模が違いすぎるかもしれないが、似た例では米国カリフォルニア州でも街路樹などとして昔からユーカリが植えられたが、それが作り出した毒素から土壌を回復するために莫大な予算が使われている。植えるべき木ではなかったのだ。世界の例を見れば、ユーカリ植林は検討するに値しない話であることはわかるだろうに。
 
 結局、試験植樹の結果は散々で、担当者は200本植えて、10%しか生存しなかったと言ったが、本当にそれは正しいデータだろうか? テレビではまともに成長した木は1本しか見せていない。町は試験植樹の結果をまず公表して、住民に植樹現場も見せるべきだろう。そして、このために使った予算も示し、情報公開もせずに進めたことを謝罪する必要があるだろう。
 
 注意すべきことは、選んだユーカリの品種が合わなかった、だから日本の気候にも合う遺伝子組み換えユーカリにしようという話だって、なりかねないことだ。遺伝子組み換えユーカリであれば事前の審査が必要になるが、それを「ゲノム編集」ユーカリにすればそれも不要にできる。気が付いたら裏山は遺伝子操作樹木に覆われていたということが起きかねない。
 
 いずれにしても公共地と補助金を食い物にする企業には要注意である。

噂の!東京マガジン 具沢山!プロが作るおにぎり▽火災の原因?ユーカリ植樹に町は大揉め!(視聴できるのは期間限定)
https://tver.jp/episodes/epmf95w3yv
(当該部分は13:00あたりから)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA