「みどりの食料システム戦略」の根本問題:タネと有機認証

 2050年までに有機農業を現在の50倍にする目標を立てた「みどりの食料システム戦略」。有機農業の拡大自身は必要な方向であることは間違いないのだけど、肝心の政策が伴っていない。
 なぜ、今、世界で20年間に有機農家の数が15倍以上に拡大しているのか? それを支えた政策は何か、なぜ、日本は有機農業のパイオニアの国の一つだったのに、今は100位前後に沈んだのか、何が問題なのか、それをどう変えるか、それが問われると思うのだけど、その分析がゼロ。 “「みどりの食料システム戦略」の根本問題:タネと有機認証” の続きを読む

EUの「ゲノム編集」食品規制はどうなるか?

 これまで「ゲノム編集」作物でさんざん騒ぎながら、市場に出たものは米国Calyxt社の大豆だけで、今後出ることが決まっているのも日本のサナテックシード社のトマトしかない(1)。でも、それは従来の遺伝子組み換えと同様に規制する方針を出したEUの存在があったからだと言えるだろう。そのEUで欧州委員会が4月29日、規制緩和に向けた報告書を出した。これは一気に「ゲノム編集」が世界に出てくる前提になりうるもので懸念が世界で表明されている。日本にも影響は必至だろう。 “EUの「ゲノム編集」食品規制はどうなるか?” の続きを読む

「ゲノム編集」の検出方法が確立、オープンソースで利用可能

 この「ゲノム編集」検査方法は画期的。「ゲノム編集」規制に向けてゲーム・チェンジャーになる。世界の注目が「ゲノム編集」を検出する世界初の検査方法の発表に集まった。

 NGO市民団体やNon-GMO食品生産・流通に関わる業者などの協力のもとで世界で初めて開発された米国サイバス社の「ゲノム編集」ナタネを検出する手法が発表された。
 これまで日本政府などは「ゲノム編集」は自然の中で変異したものと区別がつかないとして、実質的に規制をしない方針を昨年固め、10月から実施してしまっている。もっとも以前から「ゲノム編集」は検出可能だと研究者たちは声をあげていた。 “「ゲノム編集」の検出方法が確立、オープンソースで利用可能” の続きを読む

英国、「ゲノム編集」EU規制離脱踏みとどまる

 BrexitでEUから離脱した英国、規制の強いEUから離脱するこの機会をチャンスと捉えるのがバイオテクノロジー企業。「ゲノム編集」はEUでは遺伝子組み換えとして規制されるが、EUから離脱すればその規制をなくせる、として、規制をなくす農業法案(1)が出されて大問題になった。市民団体のキャンペーンが功を奏して、この法案は撤回された(2)。 “英国、「ゲノム編集」EU規制離脱踏みとどまる” の続きを読む

「ゲノム編集」:種苗への表示が不可欠だ

 遺伝子組み換え(GM)農業の終わりが見えた、と昨日書いた。GM企業は最後のフロンティアとも呼ばれるアフリカでGM農業の拡大を狙っている。先進国ではもはや増やすことは不可能に近く、援助を武器にアフリカ諸国に遺伝子組み換え作物(GMO)の栽培を長年迫っているが、抵抗は大きい。GM企業が言うようにもし本当にGM技術が収穫の向上をもたらし、飢餓から人類を救ってくれるのであればとっくにアフリカ諸国はGM農業に踏み出していただろう。でも、食用のGM作物を作っているのは実質、南アフリカくらい。アジアではGM稲(ゴールデンライス)の栽培を迫るが反対は強い。 “「ゲノム編集」:種苗への表示が不可欠だ” の続きを読む

有機農業の問題としての種苗法改正問題

 種苗法改正法案の今国会での審議はほぼなくなった。先月末までこれは与野党で問題にする案件じゃないから審議なしの即決で決める、と言っていたものがここまで変わったのは多くの人たちが国会議員に電話やFAX、メールや署名をしてくれたおかげだと思う。お疲れさまでした! しかし、残念ながら廃案になったわけではなく、次期国会で今度はまったなしで審議されるのでさらに厳しい局面になるだろう。それを前に、現在の法案や政府の施策にどんな問題があるのかまだまだ探る必要がある。

 ここでは有機農業の問題として考えてみたい。有機農業は今、世界で最も成長している産業といえる。この20年足らずの間に世界の有機市場は5倍近く拡大しており、その勢いは止まることを知らない。気候変動問題や生態系の危機が迫られる中、有機農業が持つ役割の大きさにも注目が国際的に集まっている。 “有機農業の問題としての種苗法改正問題” の続きを読む