農薬使用は米国でも規制される流れになっているが、まったく規制されていない抜け穴がある。それがタネへの農薬コーティング。米国で生産されるトウモロコシのほとんど、大豆の大部分の種子がネオニコチノイド系農薬などの農薬でコーティングされている。タネにコーティングされたネオニコチノイド系農薬は作物が生長するにつれて植物の細胞に埋め込まれる。それを食べた虫は死ぬ。その毒性は出荷される農作物でも維持され、健康にも影響を与えることが懸念される。
虫だけではない。コーティングされた物質の大部分は土壌に溶け出し、土壌微生物や鳥などの野生動物にも影響を与えていることが知られるようになってきている。ネオニコチノイド系農薬の規制は強まる傾向だが、この種子コーティングは現在、米国では環境保護局(EPA)では把握すらしておらず、規制法も存在していない。
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みどりの食料システム戦略成立:議論は尽くせたか?
「みどりの食料システム戦略」を支える「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案」、21日に参議院農水委員会で可決、そして22日本会議で可決。附帯決議も含めてすべて全会一致。有機農業推進が政策となったことは重要だが、果たして実効ある政策となっているか、それに向けた審議はされたかというと大いに疑問を呈さざるをえない。 “みどりの食料システム戦略成立:議論は尽くせたか?” の続きを読む
ケニアの種苗法改正:タネを守ることの意味
今、ケニアで起きていることを見れば、日本で起きていることの本質を理解できる、そして何をすべきかも見えてくるのではないか?
ケニアでは農家が持つタネに代わり、遺伝子組み換え種子を買わされる制度へと変えられようとしている。ケニアの人びとはそれとどう闘っているか見てみよう。 “ケニアの種苗法改正:タネを守ることの意味” の続きを読む
イタリアで有機農業推進法成立:汚染税を汚染企業に
イタリアで画期的な有機農業(水産業含む)推進法「有機的方法を使用した農業、農産食品および水産養殖生産の保護、開発および競争力のための規定法」が3月3日に成立した。 “イタリアで有機農業推進法成立:汚染税を汚染企業に” の続きを読む
グローバルな文脈での種苗法改正が持つ問題
4月1日から改正種苗法が完全実施となるが、この改正がどんな文脈で作られたものなのか、今一度、確認しなければならない。それには日本国内の動きを見るだけではわからない。これは、今、世界で同時進行する多国籍企業による食料システム独占のプロセスの一環なのだ。そして、それを別の視角から見たら、まったく別の展望が見えてくるはずだ。 “グローバルな文脈での種苗法改正が持つ問題” の続きを読む
モンサント/バイエルの特許権の主張、アルゼンチン裁判所は却下
またもや朗報 アルゼンチンのブエノスアイレス市民事商事連邦裁判所はバイエル(モンサント)の種子での特許の主張を却下した(1)。 “モンサント/バイエルの特許権の主張、アルゼンチン裁判所は却下” の続きを読む
コスタリカの女性たちが「モンサント法」に勝った
さらにもう1つ朗報 今度はコスタリカの農村女性が「モンサント法」に勝った。 “コスタリカの女性たちが「モンサント法」に勝った” の続きを読む
RCEPと種苗の知的財産権: UPOV体制は種苗産業を萎縮させる
改正種苗法によって1975品種が日本から持ち出し禁止になった、と官報に載る。あたかもそれで効果を上げるように各紙も報道するが、根拠はない(1)。そしてRCEP協定(地域的包括的経済連携協定)の国会審議、14日で東大大学院の鈴木宣弘さんが参考人として陳述されるとのこと。午後には院内集会(2)。世界最大の自由貿易圏を作るというのだから十分な審議が必要のはず。種苗の知的財産権に関わる面から問題を見ておきたい。 “RCEPと種苗の知的財産権: UPOV体制は種苗産業を萎縮させる” の続きを読む