RCEPと種苗の知的財産権: UPOV体制は種苗産業を萎縮させる

 改正種苗法によって1975品種が日本から持ち出し禁止になった、と官報に載る。あたかもそれで効果を上げるように各紙も報道するが、根拠はない(1)。そしてRCEP協定(地域的包括的経済連携協定)の国会審議、14日で東大大学院の鈴木宣弘さんが参考人として陳述されるとのこと。午後には院内集会(2)。世界最大の自由貿易圏を作るというのだから十分な審議が必要のはず。種苗の知的財産権に関わる面から問題を見ておきたい。 “RCEPと種苗の知的財産権: UPOV体制は種苗産業を萎縮させる” の続きを読む

改正種苗法の影響? 原種価格の急激な値上げ(栃木県)

 4月1日から改正種苗法の一部が施行となった。これまで地方自治体が担ってきた種苗事業を民間企業に移行させる動きが止まらない。予算が後退し、一部の種子価格が上がり、農家の負担が増やされる。米価は暴落する中、地域の農業の存続がより危機的になる。対抗策を早急に打ち出す必要がある。 “改正種苗法の影響? 原種価格の急激な値上げ(栃木県)” の続きを読む

未来の種子のシステムはどんなもの?

 未来を先取りしたいと思わないだろうか? 気候変動の激化や生物大量絶滅が危惧されている中で、それへの解決策が示せれば世界に大変な貢献ができることになる。そんなわくわくするような試みがあちこちで行われているものの、それをすべて潰してしまうようなおかしな政治がわたしたちの前に立ちはだかる。それは産業の発展も阻害する。 “未来の種子のシステムはどんなもの?” の続きを読む

種苗法改正で本当に問われるべきだったこと

 改正種苗法について、立ち位置によってさまざまな意見があると思いますが、以下のことを念頭に入れていただければ大変幸いです。

 これまでの種苗法は新品種を育成した育成者とその種苗を使う側の農家の両方の権利を守らなければならないというものでした。新品種を作ることができなくなれば農業にも影響を与えてしまいますから育成者の方たちが事業をやっていけることはもちろん、重要です。そしてそれを買う側の農家がいなくなれば、売り先がなくなってしまいます。だから両方をバランス良く支えることが不可欠になるけれども、今回の法改正はそのバランスを壊してしまうことに懸念があります。

 でも、それは問題の1つに過ぎません。今後、地域で必要とされる種苗をどう確保していくか、という問題があります。各道府県で活用される種苗を調べていけばすぐわかりますが、国や地方自治体が開発した公的品種が大きな割合を占めています。これを民営化することが今回の種苗法の隠れた目的でしょう。 “種苗法改正で本当に問われるべきだったこと” の続きを読む

改正種苗法はこれだけ問題

もう国会で決まっちゃったんだからもうこだわっても仕方ない? いや施行までにはまだ時間がある。おかしなままでは大変な混乱が生まれてしまいかねない。そのような点は実態に即して是正を求めなければならない。種苗法改正のことだ。
 審議の際に説明されたことが果たして妥当だったか? 実際にどうであったか、東京大学大学院農学生命科学研究科鈴木宣弘研究室、参議院議員川田龍平事務所の協力の下に、実際に種苗法の下に生産を行う農業者を対象にアンケート調査を行った(対象地域は北海道、青森県、山形県、愛知県、福岡県、熊本県)。そこで分かってきたことは…。  “改正種苗法はこれだけ問題” の続きを読む

南の国での種苗委託栽培労働の実態:インド、ネパール

 日本の野菜の種子は9割は海外産という。日本の種子企業が海外で生産しているということなのだが、その生産の実態はどうなっているだろうか? 今、種苗の開発は本国で行うけれども、それを増殖させるのは南の国々で行うというのは他の国でも行われているようだ。特にオランダにはそうした企業が集まる。北で開発された種苗を南で増殖する、その南の国々、インド、ネパールでの種苗増産に取り組む労働者の状況に関するWebinarが開催された。その実態は大いに憂慮すべきものであることがわかった。 “南の国での種苗委託栽培労働の実態:インド、ネパール” の続きを読む