イタリアで画期的な有機農業(水産業含む)推進法「有機的方法を使用した農業、農産食品および水産養殖生産の保護、開発および競争力のための規定法」が3月3日に成立した。
ユニークなのはそのための財源。植物検疫上、有害になりうる生産物を販売することを許可された企業に2%の「汚染税」を課すというもの。具体的にどのような企業を指しているのか記事からはわからないけれども、たとえば化学肥料や農薬を売る企業に汚染税を課せれば、当然、有機農業の推進は加速するだろう。
イタリアは世界第2位の有機農産物輸出国。実際に有機農業によってイタリアの農業は息を吹く返している。だからそれをさらに推進することでイタリアの農業全体が発展するだけでなく、地域経済、環境にも好影響が望めるから、この法案はすんなり通ったようだ。
これはとても朗報であって、イタリアと日本は類似点が多い。平野が少なくて、農家は小規模が多い。だけど有機農法を活用することでその不利を有利に変えた。イタリアでできることは日本でもできる可能性がある。
そして、もっと知りたいと思ったのがタネの問題。実はイタリアはタネの政策に関して、ユニークなアプローチをしている。有機農業に必要なのは化学肥料や農薬を必要としないタネ。有機農業が進展していく中で、その確保が大きな課題となり、すべての地方自治体が地域のタネを守る条例を制定した。そして、イタリア議会でもその地方自治体にタネの政策の権限を移譲する法律が整備されたという。
こうして地域の土や気候に合ったタネが確保され、イタリアの有機農業の推進に大きな力になっていると聞いている。もっと調べられればいいのだけど、イタリア語は歯が立たず、調査が進まない。この記事にもタネに関しては言及がない。
日本には有機種苗を確保する政策は皆無で、主な種苗は化学肥料が前提となっているものばかり。化学肥料を入れないとなかなか育たない種苗しか提供しないところで有機農業を推進するというのはガソリン車に灯油を入れているようなもので、政策的に間違っている。
なんとかイタリアや韓国のように、自治体の力で、有機農業発展のために必要な仕組みを作る必要があると思う。イタリアの農業の進展には目が離せない(というなら、イタリア語勉強しないとダメか)。
Italy Introduces New Legislation to Promote Organic Production
https://www.oliveoiltimes.com/production/italy-introduces-new-legislation-to-promote-organic-farming/106185