未来への希望は足下にある。土壌が持つ不思議な力。土いじりしている時の充足感には何か確実に根拠があるのだろう。
アマゾンの先住民族は土壌微生物を育てる手法をはるか昔に開発して、自然が作る森よりもより豊かな森と畑を作り出していたことが近年、確認された。それがテーハ・プレータ(Terra Preta、黒い土)から知ることができる(1)。
熱帯の海の色は透明だ。なぜ透明かというと温度が高く太陽光線が強いので、有機物がすぐに分解されてしまう。だからクジラは子どもを産む時だけ熱帯の海に来るが、母クジラは熱帯の海では絶食状態になってしまう。クジラはその多くが熱帯の海ではなく、オキアミが大量に発生する両極地域で大半の時を過ごす。クジラは熱帯に長くいられないが、でも熱帯には色とりどりの魚やさまざまなユニークで多様な生物がいる。それを支えているのは海の数パーセントしか存在しないサンゴ。サンゴに寄生する褐虫藻が作り出す栄養が多様な生命を支えるもとになる。そのわずかな貴重なサンゴを破壊している日本政府は本当に生態系のことがまったくわかっていない。
さて、土の問題に戻る。熱帯の土も熱帯の海と同じ問題がある。熱帯では有機物はすぐに分解されてしまう。熱帯林が覆っているからこそ、太陽光線が遮られ、多くの多様な生命が生きることができる。その豊穣さをみて、肥沃な土壌があると勘違いするが、その森を伐採してしまえば、その豊穣な生命を支えた土はあっという間に失われ、現代文明の粋をつぎ込んでも数年で農耕が不可能になる。
しかし、先住民族はその熱帯で、自然が作るよりもはるかに栄養に富む土を作ることに成功し、生産性の高い農耕を行っていた。炭と有機物を組み合わせた土壌微生物の育成方法は、ヨーロッパの植民者たちが持ち込んだ病原菌のために、先住民族国家は崩壊し、今では詳細がわからない。でも、先住民族国家が崩壊した後でも土壌微生物は500年以上生き残り続けている。
この手法を回復することができたら、この気候変動も生物多様性の大量喪失も食い止められるだろう。しかし、間に合うか?
気候変動によって土壌微生物は急速に影響を受けていることがわかってきている。土の中にはミミズ含めてさまざまな小さな生物が存在しているが、温度の上昇によって彼らの体のサイズは小さくなり、種類も大幅に減少してしまう(2)。
アマゾンの先住民族文明が作り出したテーハ・プレータは人類を救う遺産かもしれない。でも、今、昨年を上回るスピードでアマゾンの森林は燃やされている。犯罪的な火付けによって(自然発火ではない)。しかし、そうやって開かれた土地の大部分はやがて放棄される。この狂気こそ人類を破滅に追いやるかもしれない。それを支えているのはブラジルから大豆や畜産品を大量に買い付けているわれわれなのだ。
アマゾンの森林を守ることは残された先住民族の命だけでなく、わたしたちすべての命を守ること。私たち自身がアマゾンになろうというキャンペーンが始まった(3)。アマゾンを守れ。
#IndigenousLivesMatter 森を守る民がいなくなれば森もなくなる。森がなくなれば命は守れない。先住民族の命を守ることはすべての命を守ることにつながる。 https://t.co/82CI1wKFHy
— INYAKU Tomoya 印鑰 智哉 (@tomo_nada) August 11, 2020
(3) Defender a floresta amazônica é uma questão de sobrevivência para todos nós – Leg. Inglês
アマゾンになろう、キャンペーンのビデオ3分15秒(一部英語字幕付き)