本日、農水省で飼料に関する分科会が開かれた。またもや新たなバイエル(モンサント)の、ラウンドアップ(グリホサート)はもちろん、バイエルのバスタ(グルホシネート)、今、米国で大騒動になっているジカンバ、ベトナム戦争の枯れ葉剤の主成分の2,4-Dというなんと4つ悪名高い農薬に耐性のある遺伝子組み換えトウモロコシに加え、「ゲノム編集」飼料の届け出の変更などが承認された。
あまりにあんまりな会議。オンライン会議と思ったら霞ヶ関まで出かけていかなければならない。直接聞けるならまだいいのだけど、通されたのはスクリーンにオンライン会議が映し出されているだけの部屋。それだったらインターネット通じて自宅で聴けるようにしてくれよ(要するに公開はできるだけしたくないんでしょう。どんな会議か知ったらみんな本当に呆れるから)。音声は聞き取りにくく、右翼の街宣カーや庁舎内に流されるラジオ体操の音に邪魔されるという環境。でも環境以上にすごいのが会議の中身。いつものことなのだけど、資料読み上げて、「意見ありませんか? ありません。どうもありがとうございました」、で基本終わるのだ。一言も話さなかった委員もいただろう。これに税金、いくらかけているのか? いや、そんなことない。「えん麦」か「エンバク」か統一せよというとても貴重な意見が出ていたではないか…(ため息)。これが世界でもっとも〇〇な日本の規制の実態。ニッポン、スゴイ!
愚痴はここまでにして、大きな問題を書いておく。
昨年9月から10月にかけて「ゲノム編集」飼料に関するパブリックコメントが行われ、多くのコメントが寄せられた結果、農水省は今年2月に「ゲノム編集」を親とする後代交配種(つまり「ゲノム編集」で作られたものを親として作られた次の代の種苗。「ゲノム編集」品種の掛け合わせあるいは通常品種との掛け合わせで作られた新品種)から作られた作物を肥料とするものは届け出を基本的に不要としながら(これ自身問題なのだが)、親の「ゲノム編集」の時に導入された性質に変化がある場合など、3つの条件の場合には届け出を必要とした。パブコメが不十分ながら変えた点は評価できる。
今、問題になっているのは「ゲノム編集」そのものは届け出することが求められている(義務ではない)が、その届け出した「ゲノム編集」の種苗を親とした後代交配種では一切の届け出が必要なくされてしまうということだ。親そのものはだから実際には市場に出ず、その子である後代交配種が市場に出ると言われている。でも子は届け出の必要もない。でも子とは言え、「ゲノム編集」を受け継いでいることに変わりはない。遺伝子組み換え作物の子はやはり遺伝子組み換えだ。でもそれは届け出しなくていい。こうなれば「ゲノム編集」が一切規制できなくすることがめざされている。
第一世代の遺伝子組み換えは規制ができたから今、限界にぶつかったと彼らは考え、規制のない遺伝子組み換えとして「ゲノム編集」を世に出そうとしているのだ。
しかし、昨年のパブリックコメントを受け、2月段階では後代交配種は条件付きで届け出が必要という結論になっていた。それなのに今日の飼料部会でその条件をなくしてしまった。つまり、「ゲノム編集」の種苗を使ったものはどんなに変化が出ようと届け出しなくていい、ということになる。親に出なくても子に問題が出る、ということは遺伝子を操作したものでは起きやすい。でもそれは一切、構わなくていい、という結論を今日、出してしまったのだ。
「当然、そういう結論するのは安全かどうか確認する実験やっているはずで、それで安全というのだから問題ないでしょ」と思うかもしれない。いや、実験はやっていない。安全と思われるという推量だけで済ませているのだ。「私が安全と思うから安全なの」、とある学者に言われても、果たして信用できるか? 他の学者は違う意見かもしれない。だから実験して証明しなければならないはず。それが科学というものだ。だけど、今の日本政府ではそんな考え方は通じない。いつの間にか日本はそんな国になってしまっている。
そして、このようなとんでもない決定がされたことを日本のマスメディアは報道しないだろう。
どう「ゲノム編集」の普及を止めていけるか、どうやってこうしたおかしな流れを変えていくことができるか、未来の世代にどういう世界を渡せるのか、本当の正念場にある。
本日の会議に関する資料は以下から得られます。
https://www.maff.go.jp/j/council/sizai/siryou/55/index.html
昨年のパブリックコメントは
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=550002965&Mode=1
(写真は会場の様子)