“「ゲノム編集」は遺伝子組み換え”を覆そうとするバイオテクノロジー企業

 世界で生物多様性が急速に失われている。その主要原因の1つが農業。かつて栽培されていた多様な地域の作物がグローバルな穀物に変えられる。野生動物の数が激減する中、家畜の動物の種親はごく一部の多国籍企業が握り、遺伝的に多様性のない生物が大規模増産されている。この事態こそ、感染症を激化させる原因であることはすでに多くの識者が指摘している。
 そして、さらに懸念されることはその生産される生物に遺伝子操作を施すことだ。生態系の未来に大きな懸念を与えることは必至だろう。しかも、その遺伝子操作を規制なしで実現させようと、バイオテクノロジー企業は世界各国に圧力をかける。
 そんな中でもEUは「ゲノム編集」生物を従来の遺伝子組み換え生物と同様の規制が必要であるとの判決を2018年に出した。「ゲノム編集」が従来の遺伝子組み換えと同様に遺伝子挿入を行い、操作している以上、遺伝子操作技術としては同様であることは当たり前のことであり、当然の判決であったが、そのような判断を国として下したのは今のところEUとニュージーランドに限られている。そのため、この判決を覆そうとバイオテクノロジー企業は総力をかけている。そして、EUも昨年、判決と矛盾する報告書を出すに至っている。もし、EUがロビーに負けたら、世界で一気に「ゲノム編集」食品があふれるかもしれない。
 
 自然の変異と変わりない、などとして日本政府も「ゲノム編集」を容認しているが、自然界では起きない変異が生まれていることは数多くの研究結果が示しているところだ。しかし、科学的な事実があったとしても、それは隠蔽され、政治的な力で政策が変えることは頻発している。国家は信用できないから自分でやればいい、と言う人もいるかもしれないが、いくら、遺伝子操作されていない農業を自分でやろうとしても、その周囲が遺伝子操作作物に包囲されてしまったら、交雑によってその農業も影響を受けざるをえない。
 だから、この政策は曲げられてはいけないのだ。そしてすでに曲げられてしまった日本などの国はその政策の変更を要求しなければならない。
 
 EUでの新GMO(「ゲノム編集」)の規制緩和に反対するオンライン署名が始まっている。EUのさまざまな運動団体が共同でやっている。どちらからでも同じ(署名は1度のみ)。すでに7万筆。日本からも署名が可能なので、ぜひ!

Corporate Europe Observatory
https://corporateeurope.org/en/2022/04/take-action-stop-biotech-industrys-deregulation-push-new-gmos

European Coordination Via Campesina

Sign the petition : Keep new GMOs regulated!

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